高津区

高津区：歴史と自然、そして現代が交差する街

川崎市を構成する7つの行政区の一つ、高津区は、多摩川に沿う低地と多摩丘陵東端部の丘陵地帯からなる多様な地形が特徴です。夏は暑く、冬は寒いものの、東京都心部のような極端な都市気候ではなく、四季折々の変化を感じられる地域です。

歴史の息吹：縄文時代から現代まで

高津という地名は諸説ありますが、明確な由来は未だ解明されていません。しかし、その歴史は古く、区内からは縄文時代前期の子母口貝塚や、弥生時代から古墳時代の遺物が数多く出土する新作小高台遺跡が発見されています。大和朝廷の支配が及ぶと、橘樹郡に属し、千年付近には郡衙が置かれ行政の中心として機能していたと考えられています。平安時代以降は荘園が形成され、寺社や有力豪族の支配下に置かれました。

江戸時代には、東海道の脇街道である大山街道（矢倉沢往還）が整備され、二子の渡しや二子・溝口宿は、大山阿夫利神社への参拝者で賑わいました。1889年には複数の村が合併して高津村が成立し、その後、川崎市への編入を経て、現在の高津区へと発展しました。

明治時代以降は、鉄道の開通や工場進出により、都市化が進みました。特に、1927年の南武線と玉川電気鉄道溝ノ口線の開通は、高津村の発展に大きく貢献しました。戦後には、東急グループによる大規模な住宅開発が進み、多摩田園都市の形成にも関与しています。近年では、溝口駅周辺の再開発や、かながわサイエンスパークの開業など、更なる発展を遂げています。

多様な顔を持つ街：住宅地、工業地帯、そして商業地域

高津区は、住宅地が中心ですが、大規模工場や準工業地域も多く存在します。特に溝口周辺には大規模商業施設が集積し、賑わいを見せています。区役所、警察署、郵便局といった公共施設は、JR武蔵溝ノ口駅・東急溝の口駅周辺、高津駅周辺、梶が谷駅周辺と、分散して立地しています。

教育・文化：学びと交流の場

高津区内には、大学、高校、中学校、小学校、そして特別支援学校や外国人学校など、幅広い教育機関が充実しています。また、川崎市総合教育センターも設置され、教育の振興に貢献しています。区内には、歴史的建造物や史跡、公園なども点在し、文化的な側面も豊かです。

交通の要衝：良好なアクセス

JR南武線、東急田園都市線、大井町線、そしてJR貨物武蔵野線（梶ヶ谷貨物ターミナル駅）が区内を通っており、鉄道網が整備されています。バス路線も充実し、市内各地はもちろん、都心部へのアクセスも良好です。また、国道246号（大山街道）、国道409号（府中街道）、第三京浜など、主要道路も通っており、道路交通の利便性も高いです。

産業：多様な産業が発展

高津区には、機械・食品工業を中心に様々な工場が集積しています。NECプラットフォームズやクノール食品といった大企業の工場や、キヤノン、あすか製薬、富士通ゼネラルなどの研究開発拠点も存在します。精密測定機器メーカーであるミツトヨの本社も区内にあり、一般公開されている博物館も人気です。

かながわサイエンスパーク(KSP)は、先端技術研究の拠点および創業支援機能を担い、地域経済の発展に貢献しています。さらに、物流拠点としても優れた立地条件を有し、日本通運、トナミ運輸、佐川急便などが物流拠点を置いています。

かつては梨園も盛んでしたが、近年は衰退傾向にあります。しかし、一部は観光農園として残っており、高津区の歴史と自然を垣間見ることができます。商業地域は、二子と溝口に古くからの商店街が形成され、近年では大規模な再開発も進んでいます。

高津区の未来：発展を続ける街

歴史と自然、そして現代的な開発が調和した高津区は、今後も発展を続けることが期待されます。良好なアクセスと充実した生活環境は、多くの人々を引きつけ、活気ある街づくりに繋がっています。これからも、高津区は、その歴史と自然、そして人々の営みを大切にしながら、発展を続けていくことでしょう。

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