サンタスザーナ野外実験所

サンタスザーナ野外実験所

サンタスザーナ野外実験所（Santa Susana Field Laboratory）は、1947年にアメリカ政府と民間企業が共同で設立した、広大な総合研究施設です。カリフォルニア州ロサンゼルス市郊外、約50kmに位置するシミバレーに、1150ヘクタールもの広大な敷地を有していました。

研究内容

この実験所では、1949年から2006年までスペースシャトルの液体推進ロケット、1953年から1980年まで原子炉、そして1966年から1998年まで液体金属炉の研究開発が行われていました。最盛期には10基もの原子炉が存在しましたが、1980年までにすべて解体され、現在は航空機メーカーのボーイング社が跡地を所有しています。

燃料棒溶融事故

特に注目すべきは、第4地区で発生した燃料棒溶融事故です。1957年からロケットダイン社（後にアトミックス・インターナショナル社）が運用していたナトリウム冷却原子炉で、1959年7月13日の午後6時30分から26日までの約2週間、テトラリンの漏洩が原因で冷却機能が失われました。その結果、燃料棒が溶融するという深刻な事態に発展しました。

カリフォルニア州議会の委託による公式調査の結果、43本あった燃料棒のうち13本が溶融し、1500～6500キュリーのヨウ素131と1300キュリーのセシウム137が環境中に放出されたと推定されています。この事故は、スリーマイル島原子力発電所事故と比較しても、放出された放射性物質の量が多く、世界最大級の原子力事故の一つと位置づけられています。スリーマイル島原子力発電所事故では、17キュリーのヨウ素131と大量の放射性希ガスを放出しましたが、セシウムは放出されませんでした。

この事故は長らく機密扱いとされていましたが、1979年にUCLAの学生が資料を調査したことで明るみに出ました。その後、1989年にアメリカエネルギー省が報告書を作成し、公表されました。

その後の経緯

事故後、原子炉は1960年9月に再稼働しましたが、1964年には閉鎖されました。2010年12月には、原子力施設の解体後も周辺で放射性物質が検出され続けたため、近隣住民がアメリカ政府に対し、徹底的な除染を要求しました。その結果、放射性物質の抜本的な除去が決定されました。

2011年には、アメリカ環境保護庁（EPA）が自然レベルよりも高いセシウムを検出しました。2012年9月までに汚染の実態を把握し、2017年までに除染を完了させる計画が立てられました。

まとめ

サンタスザーナ野外実験所は、かつてアメリカの科学技術発展に貢献した重要な施設でしたが、同時に重大な原子力事故を引き起こした場所でもありました。現在では除染作業が進められていますが、その歴史は、原子力技術の利用におけるリスクと責任を改めて私たちに問いかけています。

関連項目

原子力事故
シミバレー (カリフォルニア州)

外部リンク

REPORT OF THE SANTA SUSANA FIELD LABORATORY ADVISORY PANEL p18
ロス近郊で高濃度放射性セシウム　半世紀前の溶融事故跡 - ウェイバックマシン（2012年11月14日アーカイブ）

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