サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団（伊: L'Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia）は、イタリア共和国の首都、永遠の都ローマを本拠地とする著名なオーケストラです。その名称は「ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団」などとも訳され、親しまれています。

歴史と所属アカデミア

楽団の創設は1908年に遡ります。これは、イタリア国内において、コンサート活動を専門とするオーケストラとしては最も長い歴史を持つとされています。このオーケストラが活動の基盤としているサンタ・チェチーリア国立アカデミアは、さらに古い歴史を持ち、1584年に設立されました。これは、現存する音楽教育機関の中でも世界有数の古い歴史を誇る組織の一つであり、アカデミア自体も音楽の発展に多大な貢献をしてきました。そのアカデミアの一員として、管弦楽団はイタリアにおけるクラシック音楽文化の中心的な役割を担っています。

指揮者と音楽監督

サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団は、その長い歴史の中で数多くの著名な指揮者たちと共に歩んできました。歴代の首席指揮者や音楽監督には、フランチェスコ・モリナーリ＝プラデッリ、イーゴリ・マルケヴィチ、ジュゼッペ・シノーポリ、ダニエレ・ガッティ、そして近年ではチョン・ミョンフンといった名匠たちが名を連ねています。

特に2005年から2023年まで音楽監督を務めたアントニオ・パッパーノの時代には、楽団はさらなる発展を遂げ、国際的な評価を確立しました。彼のもと、オペラはもちろんのこと、交響曲など幅広いレパートリーに取り組み、数多くの録音や世界ツアーを行いました。2024年からは、イギリス出身の指揮者ダニエル・ハーディングが新たに音楽監督に就任し、楽団の新たな時代を牽引しています。

以下に、歴代の主な音楽監督とその在任期間を示します。

ベルナルディーノ・モリナーリ（1912年 - 1944年）
フランコ・フェラーラ（1944年 - 1945年）
フェルナンド・プレヴィターリ（1953年 - 1973年）
イーゴリ・マルケヴィチ（1973年 - 1975年）
ジュゼッペ・シノーポリ（1983年 - 1987年）
ウート・ウーギ（1987年 - 1992年）
ダニエレ・ガッティ（1992年 - 1997年）
チョン・ミョンフン（1997年 - 2005年）
アントニオ・パッパーノ（2005年 - 2023年）
ダニエル・ハーディング（2024年 - ）

レコーディング活動

サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団は、活発なレコーディング活動でも知られています。特にデッカ・レーベルを中心に、トゥリオ・セラフィン指揮による歴史的なオペラ全曲録音は、今なお高い評価を得ています。また、1983年から1990年まで楽団の名誉総裁を務めたレナード・バーンスタインとの共演盤も貴重な財産として残されています。近年では、チョン・ミョンフンやアントニオ・パッパーノといった指揮者のもと、単にオペラの伴奏だけでなく、交響曲を中心としたシンフォニー・レパートリーにも積極的に取り組み、録音の幅を広げています。

本拠地と演奏会場

2003年以降、楽団の本拠地として使用されているのは、著名なイタリア人建築家レンゾ・ピアノが設計したモダンなコンサート施設、アウディトーリウム・パルコ・デッラ・ムージカです。この優れた音響を持つホールは、楽団のパフォーマンスを最大限に引き出し、聴衆に素晴らしい音楽体験を提供しています。

イタリア音楽界の至宝として、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団は、その伝統を守りつつも、常に新しい音楽表現を追求し、世界中の音楽ファンを魅了し続けています。

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