サンダース・ロー SR.177

サンダース・ロー SR.177

サンダース・ロー SR.177は、1950年代にイギリス空軍とイギリス海軍が共同で開発を計画した迎撃戦闘機です。この機体の特徴は、ジェットエンジンとロケットエンジンを併用した複合動力システムにあります。計画当初、西ドイツの航空軍もこの機体に対して強い関心を示しており、量産が実現すれば大量購入の意向を持っていました。しかし、結果的には西ドイツがロッキードF-104を選定したことにより、SR.177の開発は1957年に中止されることとなりました。

計画の背景

SR.177の開発が開始されたのは1950年代で、当時の冷戦状況において、イギリスは国防力の向上を目指していました。SR.177の開発は、イギリスと西ドイツが協力して行われましたが、西ドイツの選択が開発計画に大きな影響を及ぼしました。西ドイツ政府がロッキードF-104を選んだ理由の一つには、ロッキード社からの数百万ドルの賄賂が影響したと後に明らかになっています。

設計とエンジン

SR.177は、基本コンセプトをSR.53から引き継いでいますが、主な改良点として、ジェットエンジンの推力が約5倍に増加しています。この成果により、SR.177は急加速が可能で、従来の戦闘機に比べて航続時間も延長されました。これにより、ただの迎撃機としてではなく、攻撃機や偵察機としての運用も期待されました。

設計にあたっては、いくつかの技術的な課題も存在しました。特に、ロケットエンジンの燃料消費率が高く、航続距離に制約があったため、併用するターボジェットエンジンの性能向上が求められました。結果として、エンジンの改良により実用性が高まり、機体のサイズも拡大することとなりました。

計画の進展と中止

1956年には、27機分の予算が確保され、1958年に初飛行が計画されましたが、国防白書により「有人軍用機はミサイルに取って代わる」との方針転換が行われたことで、計画は中止の運びとなりました。イギリス政府は西ドイツからのオーダーを期待し、いくつかの手続きは継続しましたが、最終的に西ドイツも関与を断念しました。

結果と影響

このような背景の中、計画が中止された結果、サンダース・ロー社は大きな打撃を受け、約1000人の従業員が解雇される事態となりました。西ドイツは、ロッキードF-104が「高高度偵察、戦術爆撃、全天候戦闘機」としての役割を果たすと認知し、契約を結ぶことになりました。この選択肢は、政治的論争を引き起こし、ドイツの防衛大臣が辞任の危機に直面するなど、波紋を呼びました。

仕様

SR.177の主要な仕様は以下の通りです。

• - 乗員：1人
• - 全長：50フィート (15.2メートル)
• - 全幅：30フィート (9.1メートル)
• - 全高：14フィート (4.3メートル)
• - エンジン：デ・ハビランドジャイロンDGJ.1ターボジェットエンジンとデ・ハビランドスペクターDspe.5ロケットエンジンの組み合わせ
• - 最高速度：2,500 km/h
• - 武装：デ・ハビランドファイアストリーク空対空ミサイル2発

このような複合動力を駆使し、SR.177は様々な可能性を秘めていたにもかかわらず、開発がキャンセルされる最終的な運命を辿りました。

もう一度検索