サンチョ2世 (カスティーリャ王)

サンチョ2世：統一を夢見たカスティーリャ王

サンチョ2世（1040年 - 1072年）は、カスティーリャ王として知られ、後にレオン王も兼ねました。「強王」とも呼ばれ、その短い生涯は、統一と戦いに彩られています。

生涯

父フェルナンド1世の死後、王国は分割され、サンチョ2世はカスティーリャを、弟アルフォンソ6世はレオンを、ガルシア2世はガリシアをそれぞれ相続しました。しかし、サンチョ2世はこれに不満を抱き、王国全体の統一を目指し、兄弟との間で激しい戦いを繰り広げることになります。

軍事的な活躍

1063年、サンチョ2世は父の命令で、サラゴサ王国への援軍としてエル・シッドと共に戦い、アラゴン王ラミロ1世を討ち取るという功績を挙げました。この頃から、サンチョ2世はエル・シッドを親衛隊長に抜擢し、その軍事力を頼りとするようになります。

1067年、母の死後、サンチョ2世は本格的な軍事行動を開始します。「三サンチョの戦い」では、ナバラ王サンチョ4世とアラゴン王サンチョ1世を破り、領土を拡大しました。その後、弟アルフォンソ6世との間で一時的に和解し、末弟ガルシア2世を追放し、ガリシアを征服しました。

しかし、1072年、サンチョ2世はアルフォンソ6世を裏切り、王位を奪い、レオンを併合します。アルフォンソ6世は姉ウラカの手引きでトレドへ亡命し、サンチョ2世の統一への道は、残るサモラのみとなりました。

暗殺とその後

サモラを攻略中の1072年10月7日、サンチョ2世はベイード・ドルフォスという人物によって暗殺されます。暗殺の背景には、アルフォンソ6世とウラカの陰謀があったとも言われていますが、真相は定かではありません。

サンチョ2世には嗣子がいなかったため、アルフォンソ6世がカスティーリャとレオンの王位を継承し、最終的に王国を統一することになります。皮肉なことに、サンチョ2世が目指した統一は、彼自身の手ではなく、弟によって成し遂げられたのです。

サンチョ2世の生涯は、統一への野望と兄弟間の争い、そして突然の暗殺という劇的な展開に満ちています。彼の物語は、中世スペインの複雑な政治情勢と、権力をめぐる人々の葛藤を今に伝えるものと言えるでしょう。


参考文献

• - リチャード・フレッチャー、林邦夫訳『エル・シッド 中世スペインの英雄』法政大学出版局、1997年。
• - 芝修身『真説レコンキスタ <イスラームVSキリスト教>史観をこえて』書肆心水、2007年。
• - 西川和子『スペイン レコンキスタ時代の王たち 中世800年の国盗り物語』彩流社、2016年。

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