サンティアゴ・セグラ

サンティアゴ・セグラ：スペインを代表するマルチクリエイター

サンティアゴ・セグラは、1965年、スペイン・マドリードに生まれました。14歳からスーパー8カメラで映画制作を始め、マドリード・コンプルテンセ大学で芸術を学んだ後、プロの映画作家としての道を歩み始めます。

初期作品は低予算ながらも高い評価を受け、1993年の短編映画『Perturbado』ではゴヤ賞短編映画賞を受賞しました。映画制作の傍ら、ゲームショー出演やウェイター、さらにはエロ小説や漫画の執筆など、多様な活動で生計を立てていたといいます。

俳優としては、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督作品への出演がきっかけとなり、1995年の『ビースト 獣の日』でゴヤ賞新人男優賞を受賞。その後も、ギレルモ・デル・トロ監督作品『ブレイド2』『ヘルボーイ』シリーズ、『パシフィック・リム』など、ハリウッド作品にも多数出演しています。また、アメリカのコメディ俳優、エディ・マーフィやスティーヴ・マーティンを敬愛しており、その影響は作品にも見て取れます。

セグラの真骨頂は、何と言っても『トレンテ』シリーズです。1998年に発表された第1作『トレンテ ハゲ！デブ！大酒飲みの女好き！超肉食系スーパーコップ』は、彼自身が脚本、監督、製作、主演を務めたダークコメディ。ハゲでデブ、大酒飲みで女好きという、極めて堕落した悪徳警官をコミカルに演じ、大ヒットを記録しました。この成功は、PCゲーム化にもつながっています。

その後もシリーズは続き、『Torrente 2: Misión en Marbella』ではスペイン映画の興行収入記録を更新。シリーズ第3作では『バットマン ビギンズ』を意識した広告コピーを使用するなど、話題性を巧みに演出しました。セグラ自身は第3作を最終作と語っていましたが、『トレンテ4』、『トレンテ5』とシリーズは続き、第5作にはハリウッド俳優のアレック・ボールドウィンをゲスト出演させるなど、その人気は衰えることを知りません。

監督、俳優としての活動に加え、セグラはプロデューサーとしても活躍しています。アミゲテス・エンターテインメント社のオーナーとして、『Promedio Rojo』などの作品を製作。さらに、吹き替えの仕事にも携わり、ビデオゲーム『ブルータル・レジェンド』のスペイン語吹き替え版では主人公の声を担当しています。

2010年には、伝説的な漫画家マヌエル・バスケス・ガリェゴの伝記映画『El gran Vázquez』でバスケス役を演じ、多様な才能を見せつけました。私生活では、メーキャップアーティストのマリーア・アマロとの間に2人の娘をもうけ、長女は『Torrente V: Operación Eurovegas』にカメオ出演しています。

サンティアゴ・セグラは、俳優、脚本家、監督、プロデューサーと、マルチな才能を持つ稀有な存在です。彼の作品は、スペインのみならず世界中で愛されており、その功績はスペイン映画史に燦然と輝いています。これからも、彼のユニークな才能と創造性から生み出される作品に期待が高まります。

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