サンドイッチ装甲車
サンドイッチ装甲車
サンドイッチ装甲車（Sandwich Armored Car）は、イスラエルの国防軍が1948年のイスラエル独立戦争（第一次中東戦争）において使用した即製の装甲車両です。これらの車両は主に商業用トラックを改造して作成されたもので、またサンドイッチ装甲トラックとも呼ばれることがあります。さらに、より広義には「即製装甲車」としても認識されることがあります。
背景
1948年、パレスチナの情勢は緊迫し、ユダヤ人たちがイスラエル独立に向けて動く中、アラブの住民との対立も激化していました。このため、アラブ人の攻撃からユダヤ人の輸送トラックを守る必要が生じ、軍事組織ハガナーがこれらのトラックを防御用に改良し、サンドイッチ装甲車が誕生しました。
当初は、第二次世界大戦で使用されたアメリカやイギリスのトラックをベースに、鋼鉄製の装甲板を取り付ける方法が取られました。しかし、装甲板を厚くすると、車両が重くなり、機動力が落ちてしまうという課題が生じました。そこで、軽量かつ防御力をバランスよく発揮するため、二枚の薄い鋼板の間にベニヤのような素材を挟む中空装甲を採用しました。このため、装甲板の構造が「サンドイッチ」のようになることから、この名がつけられました。
設計の工夫
サンドイッチ装甲車の一つの工夫として、上面を手榴弾から守るために、装甲板の代わりに開閉式の金網を使用した事例があります。このような金網を装着することで、荷台の開口部を防ぎつつ、内部から外部に向けての射撃が可能な構造となりました。この金網の開閉が蝶のように見えることから、バタフライ装甲車（Butterfly Armored Car）とも呼ばれます。
装甲車のバリエーション
サンドイッチ装甲車は現地の状況に応じて様々なバリエーションがありますが、主にイギリスやアメリカの軍用トラックを改造した車両が多く見られます。
- - M3スカウトカー改造車両: アメリカ製のM3スカウトカーに装甲銃塔が取り付けられ、MG34機関銃で武装しています。
- - ダッジ ウェポンキャリア改造車両: アメリカ製のダッジ ウェポンキャリアを改造したもので、こちらも装甲銃塔を搭載しています。
歴史的意義
イスラエル独立戦争の間、サンドイッチ装甲車は戦闘や物資の護送において重要な役割を果たしました。また、戦後もしばらくの間使用され続け、イスラエルの歴史に深く刻まれています。特に、スコプス山の地域では、これらの装甲車両が安全な移動手段を提供しました。
独立戦争後も、この装甲車はイベントや博物館で展示され、イスラエルの歴史を知る手段として重要な存在であり続けています。最近ではラトルン戦車博物館やイスラエル国防軍歴史博物館などで、その姿を目にすることができます。
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