サンパウロ日伯援護協会

サンパウロ日伯援護協会

サンパウロ日伯援護協会（Beneficência Nipo-Brasileira de São Paulo）は、ブラジルで医療と福祉を提供する公益法人です。略称は「援協」として知られています。

歴史

1959年1月、ブラジルへの日本人移民とその子孫である日系ブラジル人の手によって、日本移民の保護と救済を目的として設立されました。当初は「日本移民援護協会」という名称でしたが、1969年に「日本移住者援護協会」へ、そして1972年に現在の「サンパウロ日伯援護協会」へと名称を変更しました。

設立の背景

戦後、日本からブラジルへの移民が再開され、多くの日本人がサントス港に到着しました。しかし、当時の入国手続きには時間がかかり、移民たちは大きな負担を強いられていました。そこで、日本海外協会連合会（海協連）サンパウロ事務所の大沢大作支部長が、移民のための休憩所を設けることを提案。これが、移民の家を開設し、運営組織として「日本移民援護協会」を発足させるきっかけとなりました。

初期の活動

当初はサントス港に到着したばかりの日本移民のために一時宿泊施設を運営し、入国手続きなどをサポートしていました。その後、医療施設の運営やブラジル奥地への巡回診療、高齢者や児童のための福祉施設の運営など、活動の幅を広げていきました。サービスの対象も、当初の日本移民や日系ブラジル人だけでなく、一般のブラジル人にも拡大しています。

主な活動内容

医療部門

巡回診療: 医師や看護師が医療車で日系人が多く住む地域を巡回し、医療サービスを提供しています。
リベルダーデ医療センター: サンパウロ市リベルダージ地区にある総合診療所。一般外来、歯科治療、人間ドックなどを行っています。
日伯友好病院: サンパウロ市北部にある総合病院。低所得家庭の子供たちに無料の医療サービスを提供しています。
サンミゲル・アルカンジョ病院: サンミゲル・アルカンジョ市にある唯一の病院で、ブラジル政府の統一医療保健システムに対応しています。

福祉部門

老人ホーム: サントス厚生ホーム、カンポスさくらホーム、イペランジアホーム、あけぼのホームなどの高齢者向け施設を運営しています。
児童福祉施設: 児童福祉センター奄美事業所を運営し、貧しい家庭の子供たちを支援しています。
自閉症児療育施設: 薬を使わない生活療法で、自閉症の子供たちの療育を行っています。
福祉部: 日本語とポルトガル語で、生活相談、法律相談、心理カウンセリングなどのサービスを提供しています。
やすらぎホーム: 精神疾患からの社会復帰を支援する施設です。
デイサービスセンター援協: 高齢者のためのワークショップや、45歳から59歳の女性向けの技能習得教室を開催しています。

機関紙の発行

1962年から機関紙を発行し、会員間の情報共有や移民に必要な知識の普及に努めています。現在は「援協月報」として、サンパウロ新聞とニッケイ新聞に掲載されています。

その他の活動

過去には、「あゆみの箱チャリティショー」を開催し、基金造成に貢献しました。また、精神障害者の社会復帰支援にも力を入れています。

サンパウロ日伯援護協会は、長年にわたり、ブラジルにおける日系社会の発展と福祉の向上に貢献してきました。その活動は、医療、福祉、文化など多岐にわたり、多くの人々に支えられています。

参考文献

田中慎二：『援協四十年史』（サンパウロ日伯援護協会、1999年）
赤木数成、林慎太郎：『援協五十年史』（サンパウロ日伯援護協会、2010年）
サンパウロ日伯援護協会：『2012年度事業報告書』
サンパウロ日伯援護協会：『2013年度事業報告書』

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