サンベルナルジノ海峡

サンベルナルジノ海峡

サンベルナルジノ海峡は、フィリピンのルソン島の南端とサマール島の南東部の間に広がる海峡です。この海峡は北緯12度35分15秒、東経124度11分48秒の位置にあり、周囲には大小の島々や浅瀬、暗礁が点在しています。また、この海峡の東側から流れ込む潮流は時速8ノットにも達し、航行には高度な注意が必要とされています。

歴史的背景

特に太平洋戦争の時期には、この海峡は多くの艦船が通過した重要な航路として知られています。1944年10月24日の深夜には、栗田艦隊が通峡する場面が記録されています。この際、視界が悪い夜間に、艦隊は軽巡洋艦能代を先頭にした編成で、合計20隻以上の艦艇が通過しました。艦位を正確に把握しながら慎重に進むことが求められ、艦隊は約1時間をかけて10月25日の0時30分に通過を完了しました。

航海の難しさ

サンベルナルジノ海峡はその地理的特性から、航海には厳格な計画と注意が必要です。急激な潮流や狭い水路は、航行する艦艇にとってさまざまな挑戦をもたらします。特に第二次世界大戦中はこうした条件に加え、敵艦との接触も考慮しなければなりませんでした。そのため、海峡を通過する際には船舶の走行ルートや通信手段が特に重視されたのです。

マリアナ沖海戦での通過

また、マリアナ沖海戦においても、第一機動艦隊がこの海峡を通過しました。この時、艦橋から海峡を視察していた参謀の奥宮正武は、「両手を広げると両岸に手が届くのではないかと思うほど狭かった」と表現したと言います。この感想は、海峡の狭さや航海の難易度を象徴するものと言えるでしょう。

海図の重要性

奥宮は著書の中で、サンベルナルジノ海峡の航海における精密な海図の必要性についても言及しています。歴史を振り返るにあたり、正確な海図の作成は非常に重要な要素であり、これが艦隊の安全な移動に不可欠であると認識されています。

参考文献

• - 佐藤和正『レイテ沖海戦　下』第11章　光人社NF文庫（1998年、単行本1989年）
• - 奥宮正武『提督と参謀』PHP研究所P142（2000年）

関連項目

• - サマール海
• - シブヤン海
• - ビコール支隊

サンベルナルジノ海峡は、歴史的に重要であり、今なおその地域で航行を行う艦船にとって大きな意味を持つ場所です。

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