第一機動艦隊

第一機動艦隊の概要

第一機動艦隊（だいいちきどうかんたい、英語：1st Mobile Fleet）は、大日本帝国海軍の重要な艦隊で、略称は1KdFです。この艦隊は、戦艦を中心とする第二艦隊と空母部隊からなる第三艦隊を組み合わせて編成され、司令長官は第三艦隊の司令長官が兼任する形で統括されていました。この「機動部隊」という名称は、従来の軍隊区分に基づくものではなく、第一機動艦隊の設立によって初めて艦隊の正式な名称として採用されたのです。

歴史の歩み

1942年7月、航空機に重きを置いた第三艦隊が編成され、1944年3月1日には第二艦隊との統合が行われ、第一機動艦隊が新たに設立されました。この編制は、航空主兵思想への転換を示唆するものと他の見解もありますが、実質的には二つの艦隊が一つになった形に過ぎません。しかし、この編制によって、機動部隊の指揮が一元化され、より効率的な作戦行動が可能となりました。

特に、歴史的な南太平洋海戦（1942年10月）の後、草鹿龍之介少将は「機動部隊の指揮官が他の部隊を統一的に指揮する必要がある」と提言しました。この意見が受け入れられ、1943年8月に実現を見ました。正式な編成は1944年3月に完了し、第一機動艦隊としての活動が開始されました。

第一機動艦隊の初陣は、1944年6月19日から20日にかけて行われたマリアナ沖海戦でしたが、この戦闘では300機以上の航空機を失い、機動部隊としての機能が著しく損なわれました。さらには、第三艦隊から出撃した攻撃隊が第二艦隊の上空を通過する際に、誤射による被害が発生するなど、作戦の注意不足が露呈しました。

マリアナ沖の戦いの後、艦隊は本土に帰還し、捷号作戦の準備が進められました。第二艦隊は南方に移動し、第三艦隊は本土での待機を余儀なくされました。1944年10月のレイテ沖海戦には両艦隊が参加しましたが、ここでも第三艦隊の空母はすべて撃沈され、第二艦隊も多くの艦艇を失いました。

結果として、1944年11月15日、第一機動艦隊は解体され、残った第二艦隊は連合艦隊の隷下に移行しました。この艦隊の短い歴史は、帝国海軍における艦隊戦や航空戦の変遷を端的に示しています。

主要な指導者

第一機動艦隊の司令長官、小沢治三郎中将は1944年3月1日から11月15日までこの役職にありました。また、参謀長として古村啓蔵少将が3月から任命され、その後大林末雄少将が10月に加わり、艦隊解隊までその職にありました。

編制の詳細

第一機動艦隊はさまざまな戦隊や水雷戦隊から成り、その中には著名な艦船が多数含まれています。特に、第二艦隊の戦艦には「長門」「大和」「武蔵」などがあり、航空戦隊には「大鳳」「翔鶴」「瑞鶴」が存在しました。これらの艦船は、各戦闘において重要な役割を果たしましたが、戦局の進展と共にその運命は悲しいものでした。

第一機動艦隊の活動は、日本海軍史の中で特に意味のあるものであり、その教訓は今後の軍事戦略においても引き継がれることでしょう。

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