サン・ピエトロ広場

サン・ピエトロ広場の魅力

サン・ピエトロ広場（Piazza San Pietro）は、バチカン市国の南東端に位置し、カトリック教会の中心であるサン・ピエトロ大聖堂の正面に広がる楕円形の広場です。この広場は、17世紀に著名な建築家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって設計され、1656年から1667年にかけて完成しました。広場は、世界中から訪れる信者たちを迎え入れる重要な場所として、その魅力を発揮しています。

広場の設計

ベルニーニが設計したサン・ピエトロ広場は、約240メートルの幅を持つ巨大な楕円形を特徴としています。広場を取り囲むのは、4列に並ぶ372本のドーリア式円柱で、これらの柱の上には140体の聖人像が立ち並び、訪れる人々に神聖さを感じさせます。すべてのデザインには、古代ローマのコロッセオからのインスピレーションが組み込まれており、ベルニーニはその熱狂と興奮を広場の造形に活かしました。

さらに、この広場の形状にはベルニーニの個人的な思いや信者たちに感動を与えたいという思いが込められていました。彼が描いたスケッチには、大きく腕を広げた人間の姿と、サン・ピエトロ大聖堂、広場が重ねられています。このデザインは、訪れる者たちに包み込まれるような感覚を与えることを意図しています。

信者たちを迎える仕掛け

ベルニーニが特に重視したのは、サン・ピエトロ広場に集う信者たちの心情でした。そのため、彼はローマ市内にもさまざまな工夫を凝らしました。広場に向かう信者たちが渡るサンタンジェロ橋の入り口には、10体の天使の像が配置されており、まるで彼らを歓迎しているかのようです。この橋を渡ることで、信者たちはキリストの受難や自身の苦しみを思い起こし、聖地へ向かう道を感じることができます。

橋を渡り終えると、信者たちを巨大な楕円形の広場が待ち受けており、長い旅路の終わりに特別な感動を与えてくれるでしょう。これがベルニーニの考えた「からくり」であり、訪れる者に広場の荘厳さをしっかりと体感させるようになっています。

円柱の美しい重なり

サン・ピエトロ広場の中には、特定のスポットがあり、そこに立つと特別な視覚効果が生まれます。この“centro del colonnato”と呼ばれる場所から見ると、4列の柱が重なり合って一本の柱のように見えます。さらに、この位置からは広場の外の美しい景色も楽しむことができます。ベルニーニは、閉じられた空間でありながらも、同時に世界と繋がる広場を作ろうとしました。

オベリスクの存在

広場の中央には、大きなオベリスクが立っています。これは紀元40年頃にエジプトから運ばれ、高さ25.5メートル、重さ320トンという巨大なもので、聖ペテロが逆十字架に架けられていた場所とも伝えられています。このオベリスクは、信者たちにとって重要な歴史的なシンボルとなっています。

このように、サン・ピエトロ広場はその壮大な設計や、信者たちを迎え入れる工夫、さらには歴史的背景によって、多くの人々に感動を与え続けています。信者たちが心の平安を求めて集まる場所として、この広場の存在は非常に意味深いものとなっているのです。

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