ドーリア式

ドーリア式（ドーリアしき）

ドーリア式は、古代ギリシア建築の中で最も古いスタイルの一つであり、特に紀元前11世紀から6世紀にかけて発展しました。このスタイルは、ドリス人が古代ギリシアに侵入した後、イオニア人を排除した際に確立され、ギリシャ神殿様式の基本的な柱のオーダーの一部として位置づけられています。

ドーリア式の特徴

ドーリア式では、柱の上部にあるキャピタル（柱頭飾り）が特徴的で、鏡餅のような形状をしています。柱は通常太く、エンタシスと呼ばれる捩れのようなカーブが強めに施されています。これにより、安定感や力強さが強調されます。シンプルな四角柱のデザインは、非常に荘厳な印象を与える一方で、装飾は最小限に抑えられています。このスタイルの柱台は存在しないため、柱自体がダイレクトに基盤に結合しています。

また、ドーリア式には寸法を定めるための「モデュール」というルールがあります。これは、柱の底の直径を基準にし、その倍数や分数を用いてすべての寸法を決定します。一般的に、ドーリア式の柱の長さはその直径の4倍から6倍程度です。

歴史的背景

ドーリア式の起源は木造建築にあり、杉や松などの自然素材から影響を受けています。特に、トリグリフというデザインは、木造建築の梁の断面がそのまま残ったものとされています。このスタイルは後の古代ローマや古典主義の建築にも影響を与え、広く使われるようになりました。

代表的な建築物

このスタイルの影響を受けた代表的な建造物には、以下のようなものがあります：

• - ギリシア：

- パルテノン神殿
- ヘーパイストス神殿

• - アメリカ：

- リンカーン記念堂

• - 日本：

- 法務省
- 国立科学博物館
- カトリック築地教会

日本でも、講談社や日本工業倶楽部など、ドーリア式の影響を受けた建築物が多く見受けられます。特に博物館動物園駅やカラコロ工房などは、直線的な美しさと重厚感を兼ね備え、閲覧者に強い印象を与えます。

結論

ドーリア式は、その簡潔で力強いデザインが古代から受け継がれ、今なお多くの建築物に影響を与えています。このスタイルは、古代ギリシアのアイデンティティと美学を象徴するものであり、建築界における重要な遺産です。

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