サン・ローラン級駆逐艦

サン・ローラン級駆逐艦

サン・ローラン級駆逐艦（St. Laurent-class destroyer）は、カナダ海軍が誇る護衛駆逐艦の艦級であり、カナダ国内で設計された初の大型水上戦闘艦として特筆されます。特に、ヘリコプター駆逐艦としての改装が行われ、小型艦における大型ヘリコプターの運用の先駆けとなりました。建造単価は約800万ドルとされ、その経済性も注目されています。

来歴

サン・ローラン級の背景には、連合国軍が経験した大西洋の戦いがありました。1945年までに、露天に浮かぶ潜水艦は脅威ではなくなったものの、ドイツ海軍は新世代の高性能潜水艦の建造を進めていました。特にUボートXXI型は、潜水状態での高速性能を持っており、これに対抗するため新たな艦艇の必要性が高まりました。冷戦時代の到来と共に、NATO（北大西洋条約機構）成立に伴い、対潜艦艇の配備が急務となり、カナダ海軍も次世代対潜フリゲートの開発に取り組むことになりました。

サン・ローラン級は、1949年から始まった建造計画に基づいて開発され、最初の14隻の艦艇が計画されましたが、最終的には7隻が設計変更され、レスティゴーシュ級として建造されました。

設計

サン・ローラン級の設計は、イギリス海軍のホイットビィ級と関連して進められましたが、カナダ海軍の独自の運用要求が反映されています。特に、艦橋構造が低い点など、運用の視点から工夫されました。加えて、船体は平甲板型で、波浪の水はけにも配慮された設計がなされています。これにより、航洋性に関しても優れた性能を持つ艦艇として評価されるようになります。

機関

サン・ローラン級の機関については、イギリス製の12型構成を採用し、新たに開発されたY-100型ギアード・タービンが搭載されました。水中放射雑音に関する課題も指摘されているものの、高速航行時には静粛性が高い点が強調されています。ボイラーは、B&W社製の水管ボイラーを2基搭載し、陸上での運転テストによって高い耐久性が示されています。

装備

サン・ローラン級が竣工した時点での装備として、アメリカ製のレーダーが採用され、各種の捜索装置や対潜兵器が装備されました。艦砲は、76mm連装速射砲を艦の前後に配置し、対空・対潜能力を備えています。特に、艦尾に設置された3連装のリンボーMk.10対潜迫撃砲は、その運用効率の高さから高く評価されています。

改修と近代化

1961年から1966年にかけて、大規模な近代化改修が行われ、艦尾に新たにSQS-504可変深度ソナーが搭載されました。また、ヘリコプター運用能力を向上させるための甲板や格納庫が整備され、カナダ海軍が大型ヘリコプターを駆逐艦やフリゲートから運用する先駆者となりました。このように、サン・ローラン級はカナダ海軍の機動力を大いに強化し、その後の艦船設計にも影響を与えることとなりました。

結論

サン・ローラン級駆逐艦は、カナダ海軍における重要な一翼を担う艦級であり、戦後の護衛艦設計においても大きな意義を持っています。この艦級の高度な設計やさまざまな改修を通じ、現代の海軍戦力としての価値が改めて認識されています。

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