サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院

サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院：リスボンの歴史と芸術が息づく聖地

サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院（Igreja ou Mosteiro de São Vicente de Fora）は、ポルトガルの首都リスボンのアルファマ地区に位置する、17世紀に建てられた壮麗な修道院と教会です。「デ・フォーラ」とは「城壁の外側」を意味し、その名の通り、かつてリスボンの城壁外に位置していました。この修道院は、ポルトガル国内でも特に重要なマニエリスム建築の傑作として知られ、ブラガンサ家の歴代ポルトガル王たちの菩提寺となっています。

歴史：12世紀から現代へ

サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院の起源は、1147年に初代ポルトガル王アフォンソ1世が聖アウグスチノ修道会のために建てた修道院に遡ります。ロマネスク様式で建てられたこの修道院は、中世ポルトガルにおいて重要な役割を果たしました。また、12世紀にイスラム勢力下のアルガルヴェ王国からリスボンをキリスト教勢力下へ奪還したとされる、リスボンの守護聖人聖ヴィセンテに奉納されました。

現在の建物は、1580年の王位継承危機後にポルトガル王となったスペイン王フェリペ2世の命により再建されたものです。修道院に付属する教会の建設は1582年から1629年にかけて行われ、その間、他の修道院の建物は後回しにされました。すべての工事が完了したのは18世紀のことでした。教会内の装飾は、イタリア人イエズス会士フィリッポ・テルツィまたはスペイン人フアン・デ・エレーラによって考案されたと考えられています。装飾計画は、レオナルド・トゥリアノ、バルタザール・アルヴァレス、ペドロ・ヌネス・ティノコ、フアン・ヌネス・ティノコらによって実行されました。

建築と装飾：マニエリスム様式の壮麗さ

教会は壮麗な後期ルネサンス様式、すなわちマニエリスムのファサードを特徴としています。バルタザール・アルヴァレスによるファサードには、聖人像が立つくぼみが設けられています。祭壇は、18世紀のポルトガルを代表する彫刻家ジョアキン・マチャド・デ・カストロによるバロック様式の傑作です。

入り口の内部は、18世紀に制作された青と白のアズレージョ（装飾タイル）で飾られています。これらのタイルには、1147年のリスボン包囲戦など、修道院の歴史が描かれています。部屋の天井に描かれた写実的な絵画は、イタリア人画家ヴィンチェンツォ・バッカレッリの手によるものです。

ブラガンサ家霊廟：王家の眠る場所

ポルトガルにおける信仰に関する問題が深刻化すると、修道院は1834年にリスボン大司教の宮殿となりました。その後、フェルナンド2世は僧侶たちの古い食堂をブラガンサ家の王と女王たちの墓所に変え、それまで教会堂にあった墓をこの霊廟に移しました。マリア1世（自ら建設したエストレラ大聖堂に埋葬）と、1972年にブラジル皇帝ペドロ1世としてサンパウロの独立記念碑に改葬されたペドロ4世を除く、ブラガンサ家のすべての王がここに埋葬されています。1908年に共和主義者によって暗殺されたカルロス1世とその長男であるブラガンサ公ルイス・フィリペの墓には、死者を悼む等身大の像が建てられています。

サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院は、その歴史、建築、芸術において、リスボンを訪れる人々にとって必見の場所です。荘厳な教会、美しいアズレージョ、そしてブラガンサ家の霊廟は、ポルトガルの歴史と文化を深く理解するための貴重な手がかりとなるでしょう。

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