聖アウグスチノ修道会

聖アウグスチノ修道会とは

聖アウグスチノ修道会（Ordo Sancti Augustini, O.S.A.）は、13世紀半ばに設立されたカトリック教会の修道会です。聖アウグスティヌスの定めた会則に基づき、共同生活を送りながら、神への奉仕と人々の救済を使命としています。ドミニコ会、フランシスコ会、カルメル会と並ぶ、代表的な托鉢修道会の一つとして知られています。

修道会の歴史

聖アウグスチノ修道会は、聖アウグスティヌス自身が創設したものではありません。11世紀から12世紀にかけて、イタリア各地でアウグスティヌスの会則に従って生活する修道士のグループが自然発生的に誕生し、13世紀初頭にはスペイン、ドイツ、フランスにも広がりました。

1244年、ローマ教皇インノケンティウス4世は、これらの修道士たちにアウグスティヌスの会則を課し、修道会の統合を命じました。これが、聖アウグスチノ修道会の始まりとされています。

1256年には、教皇アレクサンデル4世の命令により、複数の隠修士会が合併して、大合併が実現しました。この合併によって、アウグスチノ修道会は、より組織化され、活動の幅を広げることとなりました。

宗教改革とアウグスチノ会

宗教改革の口火を切ったマルティン・ルターは、アウグスチノ修道会の会員でした。また、遺伝の法則を発見したことで知られるグレゴール・ヨハン・メンデルも、同じくアウグスチノ会の修道士です。メンデルが遺伝の研究を行っていたブルノの修道院には、後に作曲家となるレオシュ・ヤナーチェクが少年聖歌隊として所属しており、彼の音楽家としてのキャリアの始まりの地にもなりました。

海外宣教活動

メキシコ

聖アウグスチノ修道会は、メキシコを最初の海外宣教地としました。1562年には、約50の修道院に300人近い修道士が活動していたと記録されています。

カナダ

1639年、フランスの聖アウグスチノ修道会の修道女たちが、史上初の女性宣教師としてカナダに派遣されました。彼女たちはケベックシティに病院を設立し、看護活動を行いました。この活動記録は、2023年にユネスコ「世界の記憶」に登録されています。

日本

日本へは1584年に初めて上陸しました。キリシタン迫害の時代には多くの殉教者を出し、金鍔次兵衛神父もその一人です。彼は2008年に福者に列せられました。

1952年、アメリカのヴィラノヴァ管区から宣教師が派遣され、活動が再開されました。現在、長崎、福岡、名古屋、東京などで小教区司牧を行い、幼稚園や学校の経営にも携わっています。1996年には、日本宣教地区がヴィラノヴァ管区に属する日本分管区として認可され、本部が長崎の城山教会に置かれています。

著名なアウグスチノ会士

カッシアのリタ：15世紀イタリアの修道女、聖痕者、聖人
マルティン・ルター：宗教改革者
金鍔次兵衛：キリシタン時代の司祭、福者、殉教者
アンナ・カタリナ・エンメリック：19世紀ドイツの修道女、幻視者、福者
グレゴール・ヨハン・メンデル：遺伝学者、修道士

その他の情報

聖アウグスティヌスの会則は、アウグスチノ会だけでなく、ドミニコ会や聖母被昇天修道会など、多くの修道会に取り入れられています。

外部リンク

カトリック城山教会（長崎県）
カトリック笹丘教会（福岡県）
聖アウグスチノ修道会・総本部（ローマ）

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