サン＝ドニ大聖堂

サン＝ドニ大聖堂の紹介

サン＝ドニ大聖堂は、フランスのサン＝ドニに位置する歴史的な教会堂であり、代々のフランス王の埋葬地として知られています。1966年よりカトリック教会の司教座が設置されており、現在は大聖堂として機能しています。この教会堂はもともとサン＝ドニ修道院の付属聖堂として建立されており、聖ドニが斬首された地に建てられたことからその名が付けられました。

歴史的背景

サン＝ドニ大聖堂の歴史は、聖ドニの伝説に始まります。彼はモンマルトルの丘で命を絶たれた後、自らの首を抱えながらこの地域まで歩き、そこで息絶えたと伝わっています。その地に次第に教会が建立されていき、ダゴベルト1世の時代、すなわち628年から637年にかけて、ベネディクト派のサン＝ドニ修道院が設立されました。ここは王族の埋葬地としての役割を果たし、10世紀から1789年までほとんど全てのフランス王がここに埋葬されているため、しばしば「フランス王家の墓所」とも称されます。

大聖堂の建設は、1136年頃に始まり、わずか4年後の1144年に奉献されました。しかし、現在の姿の大部分は、1218年から1245年にかけてウード・クレマンにより大規模に改築された結果として現存しています。この期間に作られた聖堂の様式は、フランスの初期ゴシック建築を象徴しており、後に続く多くの教会堂に影響を与えました。

建築技術とデザイン

サン＝ドニ大聖堂の建築は、その革新的な技術により注目を浴びています。特に、光の演出や天井の高さを重視したデザインが特徴です。重要な技術として、ロマネスクの半円アーチを尖塔アーチに変え、尖塔アーチをリブ・ヴォールトで支持し、さらにフライング・バットレスで支える方法が採用されています。これらの技術により、サン＝ドニ大聖堂は、華やかなステンドグラスによる荘厳な光の演出と共に、美しい内装を誇ります。

特に周歩廊には、ゴシック建築の特徴的な要素であるリブ・ヴォールトが施されており、細かな装飾が施された円柱が用いられています。この円柱は、13世紀の改築を経て変化し、力強いモノリスが徐々に採用されなくなりました。また、周歩廊には新たに導入されたアン・デリの添柱があり、これが後のゴシック建築における重要な技法の一つとなっています。

また、教会堂内には「アレゴリーの窓」という名のステンドグラスもあり、これもまた美術史上極めて重要な作品です。大聖堂に施された装飾は、当時の美術様式を色濃く反映したものとなっています。

王族の埋葬

サン＝ドニ大聖堂は、フランスの王族が長い間埋葬されてきた聖地であり、ここには多くの名誉ある王と王妃が眠っています。ただし、フランス革命の際に多くの墓が攻撃され、遺体が無理やり掘り起こされたことも記憶に新しいです。歴代のフランス王以外にも、高貴な血筋にある人々や著名な歴史的人物も埋葬されています。

プチティエ、ルイ16世、彼の妻マリー・アントワネットといった重要な王族の遺体は、国の政治的背景により地下室に埋葬位置を変更された結果、現在もサン＝ドニ大聖堂に安置されています。最終的に、サン＝ドニ大聖堂はフランスの歴史の象徴であり、数世代にわたる王族にとって神聖な場所としての役割を果たし続けています。

サン＝ドニ大聖堂は、単なる宗教的な施設ではなく、フランスの歴史、文化、そして王朝の記憶を今に伝える重要な存在です。

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