サン＝ラザール駅

サン=ラザール駅：パリの主要ターミナル、印象派の舞台

サン=ラザール駅（ガール・サン=ラザール）は、パリに6つ存在する主要ターミナル駅の中でも特に重要な駅の一つです。パリ北駅に次ぐ利用者数を誇り、1日の利用者は約28万人に達します。

駅の概要

この駅の特徴は、パリ北西方面への近郊列車が全体の9割を占めていることです。残りの1割はノルマンディー地方の主要都市へ向かう長距離列車です。TGVの発着がないため、他のターミナル駅に比べて派手さはありませんが、27のプラットフォームを有し、駅の周囲よりも一段低い掘割の中に構築された構造が特徴的です。

駅舎

駅舎は、幅200mにも及ぶ壮大なファサードを持っています。しかし、駅前広場には4つ星ホテルが建っているため、正面から駅舎の全景を眺めることはできません。駅舎は左右対称の構造で、両端には西口と東口が配置されています。東口正面には、時計を柱状に積み上げたユニークなオブジェがあります。

歴史

1837年8月26日に開業したサン=ラザール駅は、パリのターミナル駅の中で最も古い歴史を持っています。当初は小規模な駅でしたが、継続的な拡張工事を経て、1854年には乗り場が14番線まで増えました。1924年には第三軌条方式で電化されましたが、1960年代には通常の架線方式に変更されました。

1998年には、併設された地下駅であるオスマン＝サン=ラザール駅が開業し、RER E線の終着駅となりました。さらに、2003年12月には全自動運転の最新メトロ14号線がサン=ラザール駅まで延伸し、駅舎西口の正面には球形ガラス張りの新しいメトロ入口が設置され、メトロ地下駅の内装も全面的に改装されました。

発着路線

サン=ラザール駅からは、以下の路線が発着しています。

長距離列車：ノルマンディー地方へ向かう特急列車（コライユ・アンテルシテ）
サン・ラザール駅 - カーン
サン・ラザール駅 - カーン - シェルブール＝オクトヴィル
サン・ラザール駅 - トロヴィル・ドーヴィル
サン・ラザール駅 - ルーアン
サン・ラザール駅 - ルーアン - ル・アーヴル
サン・ラザール駅 - ルーアン - ディエップ
近郊線（トランシリアン）：ヴェルサイユ、ナンテール、ポントワーズなど、パリ北部・西部の郊外へ向かう列車
* 地下路線：オスマン＝サン=ラザール駅（RER E線）

接続路線

地下では、メトロ3, 9, 12, 13, 14号線が連絡しており、パリ市内各地へのアクセスも容易です。

駅周辺

サン=ラザール駅は、パリのターミナル駅の中でも最も都心部に近く、非常に便利な立地です。デパートが立ち並ぶオスマン通りや、オペラ座にも近い距離にあります。また、駅舎側面からヨーロッパ橋方面へ続くローマ通りには、かつてパリ音楽院の旧校舎があったため、現在では楽譜店や楽器店が多く集まっています。

印象派絵画との関係

19世紀の印象派絵画が全盛期を迎えた頃、多くの画家たちが駅周辺に住んでいました。特に、モネはサン=ラザール駅を題材にした連作を数多く描いています。これらの作品には、駅内部の列車が到着する様子や、駅ホームの北端からヨーロッパ橋とその下を通る線路を眺めた風景などが描かれています。また、エドゥアール・マネも、この駅を背景にした人物画『鉄道』を制作しています。

さらに、ポントワーズ、エトルタ、ルーアンなど、サン=ラザール駅から発車する列車が向かうセーヌ川下流の町は、当時の印象派の画家たちにとって格好の舞台となりました。

サン=ラザール駅は、単なる交通の要所としてだけでなく、芸術の面でも重要な役割を果たしてきた場所なのです。

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