サヴォイア・マルケッティ SM.93

サヴォイア・マルケッティ SM.93の概要

サヴォイア・マルケッティ SM.93は、第二次世界大戦の末期に当たる1943年にイタリアで開発された急降下爆撃機です。この機体の大きな特徴は、操縦士がうつぶせに寝転んで搭乗するという独特のスタイルです。この設計は、空気抵抗を減らし、急降下から引き起こす際にパイロットにかかるGフォースの影響を軽減することを目的としていました。

構造と設計

SM.93は、木製構造を持つ低翼の引込脚を備えた単発機です。搭乗空間は長めのコクピットが設けられており、パイロットはエンジンの直後に配置されています。無線士兼銃手は、通常の姿勢で後部に乗り込んでいます。この配置は、パイロットがうつぶせであるため、視界が極めて限られ、快適さに欠けることが問題でした。特に通常の飛行時の操縦は、長時間の運用においてタフなものだったと考えられています。

なお、主翼は2本の桁構造から成り、その付け根部分は前縁がテーパー形状となっています。外翼は穏やかなテーパーが施され、翼端部分は円形に整形されています。これにより、空力特性を最適化し、急降下の性能を向上させています。

性能とテスト飛行

1944年1月31日に初めて飛行したSM.93は、その後3月29日までに16回の試験飛行を行いました。この一連のテストにおいて、機体は最大で900km/hという速度で急降下し、成功裏に引き起こしを行いました。しかしながら、ドイツ空軍の当局によって開発は中止されることとなりました。

要目

• - 乗員：2名（パイロット、航法士/銃手）
• - 全長：10.93 m
• - 全幅：13.90 m
• - 全高：3.80 m
• - 翼面積：31.10 m²
• - 空虚重量：3,552 kg
• - 最大離陸重量：5,500 kg

エンジンと速度

エンジンには2基のダイムラー・ベンツ DB 605A倒立V型エンジンを搭載しており、出力は1,100 kW（1,475 hp）を誇ります。最高速度は高度4,500mにおいて515 km/hに達し、巡航高度は8,200mを記録します。また、航続距離は1,650kmに設定されています。

武装

武装面では、SM.93は機銃として1門の20mm MG 151/20機関砲と2門の12.7mmブレダ-SAFAT機銃、さらに1門の後方用12.7mmブレダ-SAFAT機銃を装備しています。爆弾を約820kgまで搭載可能で、多様な攻撃任務に対応できるよう設計されています。

まとめ

サヴォイア・マルケッティ SM.93は、独特な乗員の配置や高い空力性能を備えた急降下爆撃機として、短命ながらもその興味深い設計思想を持ち続けています。第二次世界大戦の歴史において、他の多くの機体と同様に、その開発の過程や性能は、後の航空技術に影響を与える要素となりました。

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