サーゴ級潜水艦

サーゴ級潜水艦の概要

サーゴ級潜水艦（Sargo class submarine）は、アメリカ海軍によって1937年から1938年の間に建造された潜水艦シリーズです。合計で10隻が建造され、後にタンバー級潜水艦がこの級の後継として登場します。

1936年度のサーモン級潜水艦の実績がアメリカ海軍が求める性能基準を満たしたことで、1937年度もその系譜に基づく艦艇を建造することが決定されました。この時期、潜水艦技術は飛躍的に進展し、特に電池とモーターに関する革新が顕著でした。

技術的革新

サーゴ級潜水艦の重要な革新の一つは、VLA47型電池の導入です。この電池は高い耐久性と安定性を誇り、水中でも最大航続時間を安定的に維持できる特性を備えています。これにより、サーゴ級を含む後のアメリカ潜水艦では「サーゴ電池」として知られるこの電池が標準装備として採用され、戦後も改良型が使用され続けました。電池の搭載によって艦内配置が一部変更され、排水量がわずかに増加しました。

一方で、当初期待されていたディーゼル電気推進機関の開発は遅れていたため、サーモン級同様、当初は折衷型の複合式機関が搭載されることとなりました。1938年度には最初の計画から2隻減少し、最終的に4隻が建造されることになった際には、遂に信頼性の高い純粋なディーゼル電気推進機関が導入されました。これにより操縦性や保守性が向上し、乗員からも高く評価されました。しかし、攻撃力に関して不満もあり、魚雷発射能力の向上が求められるようになりました。

呼称の変遷

サーゴ級の呼称は、当時のサーモン級と性能的には同一であったため、単独のクラスとして扱われることは少なく、一般には「新S級潜水艦」として、あるいは1937年度艦を「新S級潜水艦第2グループ」、1938年度艦を「新S級潜水艦第3グループ」とも呼ばれました。他にも、1938年度艦は別の呼称「シードラゴン級」として扱われる資料も存在します。

改装と戦歴

サーゴ級潜水艦は、ポーパス級やサーモン級が実施していた外装型魚雷発射管の装備は行わず、艦橋構造の改装やレーダーの搭載など、段階的な近代化が進められました。さらに、大型化された備砲である4インチ50口径砲への換装も行われました。

太平洋戦争が勃発すると、サーゴ級潜水艦はアメリカ潜水艦隊の中核を担い、広範な作戦に参加しました。特に、艦の一隻であるシーライオン(USS Sealion, SS-195)は、日本海軍に撃沈された最初のアメリカ潜水艦となりました。戦局が進展するにつれ、より新鋭の潜水艦が戦線に投入され、サーゴ級は次第に訓練艦などに転用される運命を辿りました。

戦争期には1937年度艦と1938年度艦のそれぞれ2隻が戦没しました。特に1938年度艦の一隻であるシーウルフ(USS Seawolf, SS-197)は、1944年に誤って味方に撃沈される悲劇的な結末を迎えました。また、1937年度艦のスクアラス(USS Squalus, SS-192)は、1939年の公試運航中に沈没したものの、その後引き揚げられ「セイルフィッシュ(USS Sailfish, SS-192)」と改名して再就役しました。

さて、サーゴ級潜水艦の建造から戦歴に至るまでの過程は、アメリカ海軍の潜水艦がどのように技術革新を遂げ、時代に適応していったのかを示す良い例であります。

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