サーティース・TS20

サーティースTS20：1978年シーズンの苦闘と悲劇

1978年のF1世界選手権。サーティースチームは、ジョン・サーティースとケン・シアーズが設計したTS20に大きな期待を寄せた。しかし、このマシンはチームのF1挑戦における最後の希望となり、その活躍は悲喜交交に満ちたものだった。

TS20は、前モデルTS19の後継としてシーズン序盤から投入されたわけではない。チームは当初、TS19を数戦に渡り使用。モナコグランプリからTS20が投入されたが、結果は厳しいものだった。ヴィットリオ・ブランビラがドライブしたTS20は予選落ちを喫し、チームは苦戦を強いられる。続くベルギーグランプリでもブランビラは13位に終わり、マシンの潜在能力を問う結果となった。

スペイングランプリでは、ルパート・キーガンもTS20をドライブ。ブランビラが7位、キーガンが11位で完走し、チームにとって久しぶりの光明が見えた。しかし、この輝きは束の間だった。スウェーデングランプリではキーガンが予選落ち、ブランビラはアクシデントでリタイア。続くフランスグランプリでもブランビラは17位、キーガンはエンジントラブルでリタイアと、TS20は期待に応えられない結果が続いた。

イギリスグランプリでは、キーガンが予選落ちする一方、ブランビラは9位に入賞。チームにわずかな希望をもたらした。しかし、ドイツグランプリではブランビラが燃料システムのトラブルでリタイア、キーガンは再び予選落ち。オーストリアグランプリでは、キーガンが予選落ちする中、ブランビラが6位入賞を果たし、貴重なポイントを獲得した。

オランダグランプリでは、ブランビラがスタート時の反則行為により失格、キーガンはウォームアップ中の怪我により出走できず、チームは痛恨の結果となった。イタリアグランプリでは、キーガンに代わってジマックスが出走するも予選落ち。ブランビラはスタート直後の多重事故に巻き込まれ、他車のタイヤが頭に直撃する重傷を負った。この事故は、ブランビラのF1キャリアに終止符を打つだけでなく、チームの運命をも大きく変える転換点となった。

ブランビラの負傷により、アメリカグランプリではベッペ・ガビアーニが代役として起用された。ガビアーニは予選落ちするも、代役として起用されたルネ・アルヌーが9位で完走。しかし、最終戦カナダグランプリでは、ガビアーニが予選落ち、アルヌーはエンジントラブルでリタイア。サーティースチームは、この年限りでF1から撤退することとなった。

十分な資金が確保できず、翌シーズンに向けたマシンの開発もままならない状況の中での撤退決定だった。F1撤退後、チームはブリティッシュオーロラシリーズに短期間参戦したのち、閉鎖された。サーティースTS20は、サーティースチームのF1挑戦の終焉を象徴するマシンとして、F1の歴史に刻まれた。その活躍は、マシンの潜在能力の高さを示唆しつつも、チームを取り巻く厳しい状況を反映した、ドラマチックで悲しい物語と言えるだろう。

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