サートーマス

サートーマス：王族初のダービー制覇

18世紀末のイギリスで活躍した競走馬、サートーマス (Sir Thomas, 1785年 - 没年不明)。彼は1788年5月8日に行われた第9回ダービーステークスにおいて、栄光の優勝を掴みました。この勝利は単なる競走の成功にとどまらず、イギリス競馬史に大きな足跡を残す出来事となりました。なぜなら、サートーマスの馬主が当時プリンス・オブ・ウェールズであったジョージ・オーガスタス・フレデリック、後のジョージ4世だったからです。王族がダービーに優勝したのは、サートーマスが初めてのことでした。

サートーマスを管理したのは、ダービーで4勝という偉業を達成した名調教師フランク・ニール。鞍上はW.サウスでした。その年のダービーは賞金971ポンドという高額賞金がかけられ、激しい競争が繰り広げられました。サートーマスは接戦を制し、2着のオーレリアス (Aurelius) 、3着のフィーナウ (Feenow) を退けて優勝の栄冠を手にしたのです。

サートーマスの血統も注目に値します。母はスポーツミストレス (Sportsmistress) で、兄にはポテイトーズ (Potoooooooo) がいました。父系は、名馬エクリプス (Eclipse) の血を受け継ぎながらも、ダーレーアラビアン (Darley Arabian) 傍系のポンタック (Pontac) を父とする点が特徴的です。さらに、サートーマスの母系は38号族に属しており、2006年時点においてダービー優勝馬としては最も番号の遅い牝系に属する馬という、血統的にも稀有な存在でした。毛色は栗毛で、両親の毛色を受け継いでいたと推測されています。

サートーマスのダービー制覇は、単なる競走馬の勝利という枠を超えて、競馬界、そしてイギリス社会全体に大きな影響を与えました。王族の関与は競馬の人気と社会的地位を高め、ダービーの格式を高める一因となりました。サートーマスの血統、競走成績、そして歴史的背景を紐解くことで、18世紀末イギリス競馬界の盛況と、王室と競馬の深い関わりを垣間見ることができます。

彼の活躍は、現代においても多くの競馬ファンに語り継がれ、イギリス競馬史における重要な一ページとして記憶されています。サートーマスに関する更なる情報は、JBISサーチなどのデータベースで確認することが可能です。また、サートーマスを描いた絵画なども存在し、歴史的資料として貴重な記録となっています。これらの資料から、当時に生きた競走馬とその周辺の人々の様子を想像し、歴史に思いを馳せることができるのです。

参考文献

* “Lot 2: John Francis Sartorius (British, d. 1831) – Sotheby's”. Artfact (23 December 2010). 7 March 2012閲覧。

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