サード (映画)

映画『サード』(1978年)

『サード』は、1978年に公開された日本映画で、若者が直面する社会の厳しさと内面的な葛藤を描いた作品です。この映画は、原作に軒上泊の小説『九月の町』を基にしており、寺山修司による脚本、東陽一の監督のもと制作されました。

あらすじ

物語の主人公である新次は、幼なじみの女友達と共に、都会へ出るための資金を稼ぐために売春という道を選びます。しかし、この選択は彼を思わぬトラブルに巻き込むことになります。ヤクザとの関わりが生じ、結果的に新次は相手を命を奪う羽目に。彼は少年院に送られ、そこで「サード」として知られるようになります。このあだ名は、彼が野球部で3塁を守っていたことから名付けられました。

少年院の中で、新次は日々悪夢にうなされ、自分の大切な守るべき地位である3塁を敵が侵略する様子を夢に見ます。新次が長打を打ってホームを目指す姿は、自立と目標を求め続ける彼の内なる葛藤を象徴しているのです。しかし、アルファベットの「ホーム」はいつも消えてしまい、彼はそれを見失い続けます。この悪夢は、彼の心の奥底にある不安や恐怖の象徴となっています。

キャスト

この映画には、豪華なキャスト陣が揃っており、主演の妹尾新次役には永島敏行が抜擢されています。その他の重要なキャストとして、森下愛子や志方亜紀子、島倉千代子などが名を連ねています。また、ヤクザ役には峰岸徹が挑み、各キャラクターの緊張感を作り上げています。

スタッフ

映画の制作にあたっては、原作を反映させた寺山修司の脚本が重要な役割を果たしました。撮影を担当した川上皓市と小林達比古は、物語の雰囲気を映像化するための技術で貢献しています。音楽は田中未知が担当し、そのメロディーは作品全体の感情深さを引き立てています。

受賞歴

『サード』はその完成度の高さから、多くの賞に輝いています。芸術選奨 文部大臣新人賞やキネマ旬報 日本映画作品賞をはじめとして、第33回毎日映画コンクール 日本映画優秀賞や第21回ブルーリボン賞 最優秀作品賞など、多くの称賛を受けています。

まとめ

映画『サード』は、仲間との絆、選択の結果、そして成長を描いた感動的なドラマです。新次の苦悩や葛藤は、観客に強いメッセージを送ります。彼の物語を通して、私たちは人生の目的や真実の意味について考えさせられます。この作品は、今もなお多くの人に影響を与え続ける名作です。

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