田中未知

田中未知（たなか みち）

田中未知（1945年 - ）は、日本の芸術家であり、作曲家、楽器作家、映画監督、著作家として幅広い分野で活動しました。特に、劇作家・演出家の寺山修司を長年にわたり支え、彼の作品を世に送り出す上で重要な役割を果たしました。

生涯

東京都出身の田中は、高校卒業後、寺山修司が主宰する劇団「天井桟敷」に初期メンバーとして参加しました。制作と照明を担当し、劇団の活動を支えました。劇団の資金調達のために開かれたサロンで、寺山の詩に曲を付けギターで披露したことがきっかけとなり、作曲家としてのキャリアをスタートさせます。

1968年には、カルメン・マキが歌った『時には母のない子のように』がヒットし、作曲家として広く知られるようになりました。その後も、寺山修司作詞による『山羊にひかれて』『だいせんじがけだらなよさ』、日吉ミミの『人の一生かくれんぼ』など、数々の楽曲を作曲しました。映画音楽も手掛け、寺山修司監督作品の他、東陽一監督の映画にも参加しています。

1974年からは、楽器作家としての活動も開始し、「幻想楽器展」や「言語楽器展」など、独自の楽器を用いた展示会を開催しました。1977年以降は、実験映画の監督としても活動し、『記憶のカタログ』『FACE』など、16mmフィルムを用いた作品を制作しました。

1986年に日本を離れオランダに移住。創作活動から離れ、畑を耕したり、ヨーロッパの山々をキャンプするなど自然に囲まれた生活を送りました。その距離は地球10周分を超えるほどだったと言われています。

著作家としても活動しており、『質問』『空の歩き方』『寺山修司と生きて』などの著書があります。特に『質問』は、365個の質問のみで構成されたユニークな書籍で、田中自身を「質問家」と称するきっかけとなりました。

2018年時点でもオランダに在住し、創作活動から離れた生活を送っています。

寺山修司との関係

田中未知は、寺山修司の秘書兼マネージャーとして、公私にわたり彼を支え続けました。寺山の没後も、彼の作品を世に広めるために尽力し、寺山修司の未公開映画の上映を実現させました。寺山の蔵書や遺品を散逸から守り、三沢市寺山修司記念館に収蔵されるように尽力しました。

寺山の著作権の一部を継承し、寺山の未発表写真集や歌集の出版を手掛けるなど、寺山修司の業績を後世に伝えるための活動を続けています。

評価

田中未知の長年にわたる寺山修司に関する業績は、多くの人々から高く評価されています。寺山修司を支え、その才能を世に送り出すとともに、寺山の死後もその遺産を守り、広めることに尽力したことは、特筆に値します。寺山から贈られた「未知、きみは固有名詞じゃない。ぼくとの共通名詞である。一緒につくった一つの存在です」という言葉は、二人の深い絆を示すものとして知られています。

主な作品

作曲

時には母のない子のように
山羊にひかれて
だいせんじがけだらなよさ
人の一生かくれんぼ

楽器作品

幻想楽器展
言語楽器展
話しかける部屋展
言語楽器 バロール・シンガー

映画音楽

サード
もう頬づえはつかない
四季・奈津子
ザ・レイプ
ラブレター
セカンドラブ

実験映画

記憶のカタログ
FACE
質問
水の中の日記

著書

愛するメロディ
質問
空の歩き方
質問（復刻版）

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