サード・MC86X/トヨタ

サード・MC86X: トヨタのグループCカー

サード・MC86Xは、1986年の全日本耐久選手権（後のJSPC）に向けてサードが開発したグループCカーである。このマシンは、サードがシグマのMC75/トヨタ以来約11年ぶりに投入したオリジナルのレーシングカーとして知られている。設計を手掛けたのは小野昌朗氏であり、このプロジェクトはサードのレーシングカーの新たな一歩を象徴している。

エンジンと性能

MC86Xには、トヨタの4T-Gエンジンが搭載されており、これは2.1リッターの直列4気筒ターボエンジンである。このエンジンは、耐久レースという過酷な条件下でも高いパフォーマンスを発揮するように設計されており、車体との一体感を重視した設計になっている。MC86Xは耐久レースでの安定性と速さを兼ね備えていた。

デビューとレース結果

MC86Xの初めてのレースは、1986年の富士500マイルであり、このレースで7位という結果を残した。このデビューは印象的であったものの、その後の戦績は思わしいものではなかった。1987年にはエンジンを4バルブの3S-Gに交換し、MC87Sとしてレースに参加したが、最終戦である富士500kmでは7位が最高位であった。

さらに1988年にはMC88Sとして再度参戦したが、富士500マイルで記録した6位が最高の結果であり、この年をもってサードのオリジナルマシンとしての参戦は終了した。MC86XからMC88Sまでのモデルは基本的に同じシャシーと設計思想であり、サードにとっては特異な存在のレーシングカーであった。

結論

サード・MC86Xは、耐久レースにおける技術革新と挑戦の象徴であり、その後のトヨタのレーシングカー開発に影響を与えた重要なマシンである。MC86XからMC88Sまでの歴代モデルはすべて同じシャシーを使用しており、サードのグループCカーはこの1台のみであったことから、その稀少価値とともに、レーシングカーの歴史の中でも特別な位置を占めている。今後もこの時代の耐久レースとサードの技術を振り返る際、MC86Xの存在は欠かせないものとなるだろう。

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