サーブ 39 グリペン

SAAB 39 グリペンについて

概要

スウェーデンのサーブ社が中心となって開発した、SAAB 39（JAS 39）グリペンは、多用途戦闘機です。この機体は、軽戦闘機に分類され、マルチロール機（多目的戦闘機）として、制空戦闘や対地攻撃、さらには偵察任務などを適切にこなすことができる性能を誇ります。「グリペン」という名前はスウェーデン語で「有翼獅子」を意味し、サーブ社はこの機体を「The smart fighter（賢い戦闘機）」というキャッチコピーで宣伝しています。

グリペンは高いコストパフォーマンスを実現しており、スウェーデンの国防ニーズと予算に対応する形で、一部性能を妥協することにより軽量化されています。さらに、公式サイトではネットワーク中心の戦術や多彩な作戦への対応能力、低いライフサイクルコストが特徴として強調されています。

開発の背景

冷戦期、スウェーデンは軍事的中立政策を採っており、専守防衛の観点から、国内での防衛を重視していました。このため、戦闘機にはソ連軍からの高い抗堪性が求められ、分散配備や短距離での離着陸が重要視されました。これを受けて、特に短距離離着陸（STOL）能力や高い整備性が求められたのです。

グリペンの開発は1980年に始まり、最初の試作機は1988年に初飛行しましたが、その後もいくつかの試験飛行で問題が発生しました。しかし、1992年には量産初号機が飛行し、1996年に運用が開始されました。その後、グリペンE型として新しい技術とともに進化し、ブラジル空軍にも発注されています。

特徴

機体デザイン

グリペンは、カナードとデルタ翼を組み合わせた独自の形状を持ち、機体は軽量化を図るため、アルミ、CFRP（炭素繊維強化プラスチック）、チタンなどで構成されています。また、整備性が高く設計されており、迅速な再出撃が可能です。

コックピット

コックピットはHOTAS（Hands On Throttle and Stick）という概念を基にデザインされており、操縦桿やスロットルレバーから直接多機能ディスプレイにアクセスできます。これにより、パイロットは飛行中に迅速に情報を取得・操作することができ、安全性や効率性が向上しています。

エンジン

グリペンのエンジンは、F404-GE-400を改良したRM12を搭載しており、設計面においては、単発機の弱点である生残性を高めるために優れた冗長性を持つ制御システムを採用しています。また、整備性の向上も図られており、効率的な運用が可能です。

電子機器

グリペンは、ネットワーク中心の戦闘を意識した高い拡張性を持つアビオニクスを搭載しています。これにより、導入国はニーズに合わせたカスタマイズが可能になっています。レーダーや電子戦機能も充実しており、現代の戦術に対応できる柔軟性を持っています。

運用と採用

グリペンは元々スウェーデン空軍で使用されており、続いて南アフリカ共和国やハンガリー、チェコ共和国など、多くの国に輸出されています。また、狭い予算を持つ国にとって、コスト効果の高い選択肢として位置づけられています。特に近年では、ウクライナなどからも注目されていますが、現時点では他国への供与の意思は示されていません。

グリペンは、コストパフォーマンスに優れる反面、自国が求める能力を満たすために柔軟な対応が必要とされていますが、それにも関わらず高機動性と優れた整備性で多くの戦場における信頼できるパートナーとなっています。

このように、SAAB 39グリペンはスウェーデンの特徴を反映した多機能かつ効率的な戦闘機として、今後も重要な役割を果たすことでしょう。

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