サーブ・99

サーブ・99の概要

サーブ・99は、1968年から1984年までスウェーデンのサーブ社が製造していた中型乗用車です。デザインには航空機の設計技術が取り入れられており、特に耐寒性や安全性の高さで知られています。このモデルは1970年代のサーブの成長を支え、アメリカ市場への輸出でも成功を収めました。特にターボチャージャーを実用車に初めて採用したことでも注目されました。

開発の背景

サーブ・99の開発は1965年に始まり、1967年に公式に生産型が発表されました。このモデルの設計は秘密裏に進められ、新しいパワートレインのテストプロトタイプとして、96のボディを拡張した「サーブ・パダン」が作られました。しかし、このプロトタイプの開発は短期間で終了し、新しいボディの設計に移行しました。この新ボディの開発が進む中、一部では偽装工作も行われ、サーブの新型車としてではなく、輸入車と見せかける手立てが講じられていました。このプロトタイプは現在、サーブの博物館に展示されています。

99搭載エンジンには、環境基準を満たすために新たにトライアンフ製の1,750cc直列4気筒エンジンが採用されました。このエンジンは、特定の改良を経てサーブ独自のエンジンへと取って代わることになります。強力なエンジンにより、99はその独自のデザインと共に高いパフォーマンスを誇りました。

デザインと特徴

サーブ・99の外装は、滑らかなラインと空気力学的な特性を考慮した設計がされています。特にボンネットやウィンドスクリーンの形状は飛行機のスタイルを反映しており、他の車とは一線を画すデザインとなっています。その特徴的なデザインは、整備性や運転時の視界の向上にも寄与しています。

99のトランスミッションには、駐車時の安全性を考慮したシフトレバー仕様が導入されています。これは、車が凍結した坂道で動き出すリスクを避けるための工夫です。サーブの他の車両と同様に、高い安全性を狙い、フリーホイール機構やサーボ付きの四輪ディスクブレーキが付けられていました。

歴史的な改良

サーブ・99は、登場してからの16年間に渡ってさまざまな改良が施されました。1970年にはダッシュボードが一新され、アメリカ市場に焦点を合わせたオートマチックトランスミッション車やインジェクション仕様が追加になりました。加えて、1,850ccや1,984ccのモデルが登場し、キャブレターからインジェクションへの移行が進みました。そして、1978年には99ターボが導入され、145馬力を発揮するエンジンが搭載されました。このモデルは高い速度性能を持ち、当時の自動車専門誌からも高く評価されました。

しかし、1979年にはさらなる米国市場の安全基準に対応するため、99はモデルを新たに900に切り替え、米国市場からは撤退することとなりました。1984年には生産が終了し、総生産台数は58万8643台に達しました。このモデルの基本設計は、900の後継モデルにも影響を与え続けました。

日本市場での展開

サーブ・99は、日本市場にも導入されましたが、初期の輸入台数は限られたものでした。第一回目の東京モーターショーで公開された後、少しずつ市場に浸透していきました。特に1978年に導入された99GLEコンビ・クーペは、日本市場に適した仕様であり、徐々に支持を集めるようになりました。サーブ・99はそのユニークな特性から、特定の層に受け入れられ、一定の販売台数を記録しました。

ラリーへの参加

ラリー競技においても、99は活躍を見せました。スティグ・ブロンクビスト選手が99 EMSでスウェディッシュ・ラリーで優勝し、1979年にもターボモデルで優勝を果たしました。このようにして、99は多くのファンとの記憶に名を刻み、性能やデザインにおいて評価されています。

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