スティグ・ブロンクビスト

スティグ・ブロンクビスト：ラリーのレジェンド

スティグ・ブロンクビスト (Stig Lennart Blomqvist, 1946年7月29日-) は、スウェーデン出身のラリードライバーであり、1984年世界ラリー選手権(WRC)王者として知られています。18歳で運転免許を取得すると、地元ラリーで頭角を現し、1971年にはRACラリーで優勝。その後、サーブ、ランチア、タルボット、アウディなど様々なメーカーのマシンを駆り、WRCを中心に活躍しました。

華麗なるキャリア

ブロンクビストのWRC参戦は、サーブの支援を受けて北欧を拠点としたスポット参戦から始まりました。若手時代は、同郷のビョルン・ワルデガルドから「国内に留まりすぎた」と指摘されるほど、スウェーデン国内ラリーで経験を積みました。サーブ96V4、99EMSなどを駆り、マシン性能のハンデを技術で補い、度々表彰台に上る活躍を見せます。

1980年代に入ると、ブロンクビストはアウディ・クワトロに乗り換え、その潜在能力を最大限に引き出しました。1982年には2勝を挙げタイトル争いに加わり、1984年には5勝を挙げて念願のドライバーズチャンピオンを獲得。ヴァルター・ロール、ハンヌ・ミッコラ、ミッシェル・ムートンらと共にクワトロの開発・熟成に貢献し、チームの黄金時代を築きました。

ブロンクビストは、当時一部ドライバーの間で主流になりつつあった左足ブレーキの技術に長けており、ミッコラにその技術を伝授したエピソードも有名です。稲垣秋介氏はその先駆者と推定しています。アウディ時代だけでなく、タルボット・サンビームロータス、プジョー・205ターボ16、フォード・RS200、フォード・シエラ、日産パルサーGTI-R、シュコダ・フェリシアKITCARなど、様々なマシンを駆り、その経験と技術を活かしてマシンの開発・改良にも貢献しました。

1989年には、日本のインターTECにステファン・ヨハンソンと共に参戦し5位を獲得。1996年には50歳にしてRACラリーで総合3位に入るなど、長きに渡り第一線で活躍を続けました。1997年から1998年にはスウェーデン国内ツーリングカー選手権にも参戦、2000年以降もシュコダ・オクタビアの開発や、三菱ランサーエボリューションでのスポット参戦など、モータースポーツ界への貢献を続けました。

WRC引退後も

WRC引退後も、ミッシェル・ムートンが主催するレース・オブ・チャンピオンズに度々出場し、1989年と1990年には優勝を飾りました。地元ラリーイベントやアウディ関連のイベントなどにも参加し、その存在感を示し続けています。2004年には、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにフォード・RS200Eで参戦し、トップタイムを記録しました。また、2008年にはコリン・マクレー追悼ラリーにも参加するなど、モータースポーツへの情熱を燃やし続けています。BBCの番組「トップ・ギア」に登場した「ザ・スティグ」の有力候補として噂されましたが、本人は否定しています。2010年には、アウディのクワトロシステム30周年記念イベントにも参加し、往年のスポーツクワトロと共に華を添えました。さらに2012年には、ビヨン・ワルデガルドと共にパトリック・サンデルのプロドライブへのシート獲得を支援するなど、後進の育成にも尽力しています。

モータースポーツ一家

ブロンクビストの息子、トム・ブロンクビストもまた、モータースポーツの世界で活躍しています。2010年には、史上最年少でフォーミュラ・ルノー選手権を制覇するなど、父譲りの才能を見せています。

まとめ

スティグ・ブロンクビストは、卓越したドライビングテクニックと長年の経験、そして開発への貢献で、ラリーの歴史に名を刻んだ偉大なドライバーです。WRCチャンピオンという輝かしい実績だけでなく、その人となり、そしてモータースポーツへの情熱は、多くのファンにインスピレーションを与え続けています。彼の息子トムの活躍を含め、ブロンクビスト家はまさにモータースポーツ一家と言えるでしょう。

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