サーミスタ

サーミスタについて

サーミスタ（英語: thermistor）とは、温度によって電気抵抗が大きく変化する特性を持つ抵抗体のことを指します。この特性を活かし、温度測定のためのセンサとして広く利用されています。一般的にサーミスタは-50℃から150℃程度の温度範囲で測定が可能です。その名は、英語の「thermal」（温度）と「resistor」（抵抗器）を組み合わせたものです。

サーミスタの種類

サーミスタは主に特性に基づいて以下の3つに分類されます。これにより、用途に応じた機器や装置での使用が可能となります。

• - NTC（Negative Temperature Coefficient）サーミスタ：温度が上昇すると抵抗値が減少します。
• - PTC（Positive Temperature Coefficient）サーミスタ：一定の温度を超えると抵抗値が急激に増加します。
• - CTR（Critical Temperature Resistor）サーミスタ：特定の温度を超えると抵抗が急減します。

NTCサーミスタの特徴

NTCサーミスタは、温度の増加に伴って抵抗がゆるやかに減少する特徴から、多くのセンサ用途に使用されています。温度測定以外にも、電源回路の突入電流を抑えるためにも使用されることがあります。また、材料としては、ニッケルやマンガン、コバルト、鉄などの酸化物が混合され、焼結されています。このタイプのサーミスタは、温度と抵抗の関係が比較的簡単な数式で表現できるため、扱いやすい特性を持っています。

PTCサーミスタの特性

PTCサーミスタは、ある温度を超えると抵抗値が急激に増加する特性を持つため、温度センサとしての用途に加え、自己発熱による電流制限素子としても利用されます。この特性を利用して、ヒューズの代替として回路保護の役割も果たします。PTCサーミスタは自己温度制御機能を持ち、ヒーターとして使用することで、特別な制御回路がなくても加熱を制限できるという利点があります。

セラミックPTCサーミスタ

セラミックPTCは、チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックスで、キュリー温度付近での抵抗増加を利用しています。この属性により、一定の温度を維持するヒーターとしての用途も見出されています。

ポリマーPTCサーミスタ

ポリマーPTCサーミスタは、低融点ポリマーに導電性の粒子（カーボンブラックやニッケルなど）を混ぜ込んだもので、これによりポリマーが溶融すると電気抵抗が増大します。リチウムイオン二次電池の保護素子や過熱防止の目的で、電気カーペットとしても使用されています。

CTRサーミスタ

CTRサーミスタは、PTCサーミスタとは逆に温度が上昇すると急激に抵抗が減少します。このタイプは、バナジウムの酸化物に添加物を加えて焼結した材料で構成されています。

電気伝導メカニズム

サーミスタの電気伝導メカニズムは、主にバンド理論やホッピング伝導に基づいています。NTCサーミスタの特性は、特定の温度におけるサーミスタ抵抗Rを、次の数式で表現できます。

R(T) = R0 × e^(B(1/T - 1/T0))

ここで、Bは各サーミスタに特有のB定数を示します。さらに、スタインハート・ハート式を用いることで、NTCサーミスタの温度抵抗特性をより精緻に近似することが可能です。この式は、次のように表されます。

1/R(T) = a + b × T + c × T^3

a, b, cは「Steinhart-Hartパラメータ」として知られ、それぞれのサーミスタに応じた値が指定されています。

まとめ

サーミスタは、温度測定や電流制限、回路保護など多岐にわたり活用されており、日常生活や産業において重要な役割を果たしています。これらの特性を理解し、正しい使用を行うことは、より効率的で安全な電気機器の運用につながります。

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