サーメート

サーメート (Thermate) について

サーメートは、焼夷弾の一種であり、テルミット反応を利用した兵器です。この兵器の特徴は、極めて短時間で非常に高温を集中して生じさせる能力にあります。燃焼に酸素を必要としないため、水中での使用も可能な点が大きな利点です。

特徴と用途

サーメートは、通常の手榴弾や他の火器と比較して、加害半径が著しく狭いのが特徴です。このため、信管の遅延時間も比較的短く設定されています。燃焼温度は約4,000度から5,000度に達し、鉄骨などの金属を溶解する能力を持っています。主な用途は、鉄条網やバリケードといった構築物の迅速な破壊です。この兵器は、米国のベトナム戦争時代から長期間使用されてきました。

歴史と背景

サーメートは比較的マイナーな兵器ですが、アメリカ同時多発テロ事件に絡む陰謀論の一つとして、物理学者スティーブン・ジョーンズが「ワールドトレードセンターの崩壊にサーメートが使われた」という仮説を提唱したことで、一般に知られるようになりました。また、サーメートは白リン弾と混同されることも多く、そのため誤解を招くことがあります。

AN-M14/TH3焼夷手榴弾

アメリカ軍では、サーメートを充填材としたTH3焼夷手榴弾、AN-M14が配備されています。この手榴弾は以下の仕様を持っています。

• - 長さ: 145ミリメートル
• - 直径: 64ミリメートル
• - 信管: M2000A1（2秒遅延）
• - 加害半径: 2メートル
• - 燃焼時間: 2-3秒
• - 燃焼温度: 約4,000度華氏（約2,204度摂氏）
• - 充填材: サーメート（テルミット68.7%、硝酸バリウム29.0%、硫黄2.0%、バインダー0.3%）

また、塗装に関する規則も変更されており、1960年代以前は灰色に紫のラインが使用されていましたが、その後ライトレッドに変更されています。

登場作品

サーメートは様々なメディアで描かれることがありますが、特に有名なのは1982年の映画『遊星からの物体X』です。この映画では、ノルウェーの南極観測隊員がAN-M14を使用するシーンが見られます。

まとめ

サーメートは、その高温高熱により、特に金属構造物の破壊に特化した兵器です。水中でも使用可能なため、様々な戦闘状況での有用性が評価されています。

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