ザイドリッツ (巡洋戦艦)

ザイドリッツ (SMS Seydlitz) の概要

ザイドリッツは、あらゆる点でドイツ帝国海軍の巡洋戦艦の中でも特異な存在でした。この艦は1913年にハンブルクのブローム＆フォス社で建造され、オーストリア継承戦争や七年戦争で名を馳せたプロイセン王国の騎兵軍の将軍、フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・ザイドリッツにちなむ名が付けられています。下にザイドリッツの設計や艦歴、そして戦訓について詳しく述べます。

設計と特徴

ザイドリッツはモルトケ級巡洋戦艦を基にした改良型で、ドイツ海軍の最初の巡洋戦艦であるフォン・デア・タン系列の完成形とも言える存在です。この艦の設計には、特に外洋での航行を視野に入れた高い耐航性が求められました。艦首部分のデザインが見直され、十分な乾舷を確保することで、波浪の影響を軽減しました。

艦形と武装配置

船体形状は、前級の船体をさらに高くした三段のブロークンデッカー形式を採用し、左右に配置された副砲はその独自の武装配置が特徴です。艦の武装は、主砲としてSK L/50 1911年型の28cm砲を連装砲塔に装備し、最大射距離を延ばしました。これに加え、15cmや8.8cmの副砲も備えられ、様々な状況に応じた火力を発揮することができました。

艦歴

ザイドリッツは第一次世界大戦で数回の重要な海戦に参加しました。1914年11月3日のヤーマス襲撃や、1915年1月24日のドッガー・バンク海戦では、フランツ・フォン・ヒッパーの旗艦としてイギリス海軍との激しい戦闘を繰り広げました。この戦闘では、イギリス巡洋戦艦「ライオン」に対して効果的な攻撃を行い、相手に大きな損害を与えましたが、自艦もまた甚大な損傷を受けました。

ユトランド沖海戦

1916年のユトランド沖海戦では、ザイドリッツが再びヒッパーの指揮した艦隊の主力として臨みました。この海戦もまた過酷なもので、ザイドリッツは多くの攻撃を受け、艦首に大量の浸水が発生しました。しかし、その高い乾舷が浸水をある程度抑え、艦はなんとか帰港することができました。この海戦では、ザイドリッツは21発の砲弾と魚雷を受け、多くの死傷者が出ることとなりました。

戦訓

ユトランド沖海戦での経験から、艦首を密閉することで浮力を保つ重要性が強調されました。この教訓は後の戦闘、特に1944年のレイテ沖海戦においても応用され、艦首虚の保全が求められる場面がありました。

その後の運命

第一次世界大戦の休戦後、ザイドリッツはスカパ・フローに係留され、1919年6月21日に乗組員の手により自沈しました。その後、1928年にサルベージが行われ、解体されることとなりました。彼女の存在は、ドイツ海軍の巡洋戦艦がいかに頑強に設計されていたかを示す一例であり、海軍史において重要な役割を果たしました。

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