副砲

副砲：艦艇と戦闘車両における補助火力の役割

副砲とは、主に艦艇に搭載される補助的な火砲のことです。主砲が対応しにくい目標、例えば高速で小型な水雷艇や航空機などを攻撃するために用いられました。また、海上警備行動における臨検など、主砲を使用するまでもない状況でも副砲は有効な手段となります。

艦艇における副砲

概要

戦艦のような大型艦艇では、主砲の弾薬数に限りがあり、旋回速度も遅いため、小型で高速な目標への対応は困難でした。そこで、15センチ前後の副砲が用いられることが一般的でした。副砲には、砲塔式とケースメイト式があります。

巡洋艦では、主砲の口径が比較的小さいため、副砲を装備することは少ないですが、航空機の空襲に対抗するための高角砲（対空砲）が副砲の役割を果たすこともありました。

第二次世界大戦後、艦載兵器の主力はミサイルへと移行し、艦載砲は主砲1門のみに縮小される傾向にありました。しかし、冷戦終結後、イージス艦「コール」が小型艇による自爆テロで大破した事件を契機に、近距離からの奇襲に対する即応性や、海上警備行動での利便性から、再び砲熕兵器が見直されるようになりました。現在では、機銃座や自動化されたRWS（Remote Weapon Station）などが搭載されることが多く、中には30mm機関砲クラスの砲塔を備えるものも存在します。

前弩級戦艦の補助砲

前弩級戦艦には、水雷艇に対抗するための補助砲が搭載されていました。これらの補助砲は、口径8センチ前後のものが多かったようです。

戦闘車両における副砲

概要

戦闘車両は、艦船に比べて重量や容積に制約があるため、通常は主砲1門のみを装備します。しかし、「陸上軍艦」の発想を原点とする初期の戦車には、多砲塔戦車のように複数の武装を備えたものが存在しました。

第二次世界大戦後期には、主砲の強化に伴う携行弾数や装填速度の制約を補うため、マウス超重戦車や五式中戦車チリのように、副砲を備える試みもありました。

冷戦後、現代の主力戦車は主砲弾薬の重量化と車体自体の重量化という限界に直面しつつあります。2022年には、ドイツとアメリカが軽目標に対処するための機関砲搭載RWSを装備した主力戦車のコンセプトモデルを相次いで発表しました。また、イスラエルのメルカバ戦車は、やや特殊な事例ではありますが、60mm迫撃砲を装備しています。

まとめ

副砲は、艦艇や戦闘車両において、主砲を補完し、多様な脅威に対応するための重要な役割を担ってきました。現代においても、その意義は失われておらず、新たな形で進化を続けています。

参考文献

* 高平鳴海、坂本雅之『図解軍艦』新紀元社、2009年11月。ISBN 978-4-7753-0718-2

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