ザウバー・C15

ザウバー・C15 (Sauber C15)

ザウバー・C15は1996年のF1世界選手権に向けてザウバーが設計したフォーミュラ1カーで、設計を手掛けたのはレオ・レスです。このモデルは1996年の開幕戦から最終戦まで、チームによって運用されました。

開発の背景

C15の設計は1995年3月に始まりました。前モデルC14では急なエンジンの変更があった一方、C15は初めからフォードの新型V10エンジンを搭載することを考慮して開発されました。このため、早くも1月17日に他のチームよりも早くシェイクダウンテストを実施し、多くの走行テストを行うことができました。搭載されるエンジンは前年と同じフォードのZetec-Rで、気筒数がV8からV10に変更されました。

設計の責任者であるレオ・レスは、前モデルで問題となった重量分配を改善し、ギアボックスを含む全体の重量バランスを最適化できたと満足を示しました。そのため、ギアボックスに関するトラブルも減少することが期待されました。ただし、フォードは翌年からスチュワート・グランプリとのパートナーシップを発表したため、ザウバーは新たなエンジンを探しながらの厳しいシーズンに直面していました。

また、C15のカラーリングはレッドブルの青色とペトロナスのミントグリーンを組み合わせた鮮やかなものであり、視覚的なインパクトもありました。

1996年シーズンの成績

ドライバーは前年から続投のハインツ＝ハラルド・フレンツェンと、ベネトンから移籍したジョニー・ハーバートの二人で構成されました。彼らは全日本F3000からの卒業生という共通点を持っており、チームとしての息も合っていました。シーズンが始まると、C15のコーナリング性能が期待以上だったものの、フォードの新しいV10エンジンは加速性能は良好であるものの、最高出力で劣っていることが顕著になりました。

両ドライバーは10,000回転付近でのトルク不足に苦しみ、最高速の伸び悩みからオーバーテイクが困難なマシンになってしまう事態に陥りました。コスワースが初めて製造したV10エンジンは保守的な設計だったため、他のトップエンジンに比べて約60馬力の不足がありました。加えて、回転数制限が15500回転に設けられていたことも響き、シーズン開始前の楽観的な見通しは裏切られることになりました。

その結果、チームはウイングの角度を調整して対応せざるを得ず、ハンドリングが悪化し、C15のシャシーのパフォーマンスが十分に発揮できない苦しいレースが続きました。しかし、ハーバートはモナコグランプリの混戦の中で3位を獲得し、コンストラクターズランキングでは前年と同じ7位をキープしましたが、総ポイントは前年を下回る結果となりました。フレンツェンは入賞回数でハーバートを上回る成績を収め、2年越しの希望が実を結びウィリアムズに移籍することが決まりました。

技術仕様

• - シャーシ名: C15
• - タイヤ: グッドイヤー
• - ギアボックス: 6/7速＋リバース1速の横置きセミオートマチック
• - エンジン名: フォード・ZETEC-R
• - 気筒数・角度: V型10気筒・72度
• - 燃料・潤滑油: エルフ

C15は、その個性的なデザインとドライバーたちの努力により、厳しい状況の中でもチームの存在感を示すことができた一台として記憶されていることでしょう。

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