ザウバー・C29

ザウバー・C29について

ザウバー・C29は、2010年に開催されたF1世界選手権用にザウバーが開発したフォーミュラ1カーです。BMWの撤退後、ペーター・ザウバーが再びチームを運営することとなり、初めて使われたモデルでもあります。コンストラクター名義としては「BMWザウバー」のままとされ、時折「BMWザウバー・C29」とも呼ばれています。

概要

このマシンは、かつてのBMWワークスが使用していたF1.09の後半仕様をもとに改良される予定でした。しかし、BMWの突然の撤退によってマシン開発が一時中断され、ペーター・ザウバーがチームを買収したことにより、再度の開発が進められることになりました。
2010年1月31日、バレンシア・サーキットにてC29の発表と同時にシェイクダウンが行われました。BMW撤退の影響で、元々のメインスポンサーであったペトロナスがメルセデスに乗り換えたため、C29はほとんどロゴのない白一色のデザインに仕上がっています。

このシーズンから、エンジンは2005年以来5年ぶりにフェラーリの提供を受けることになりました。また、チームはマクラーレンのFダクトを取り入れましたが、ザウバー独自の手法として、フロントからの空気をリアウィングに吹き付けることによってダウンフォースを調整する革新技術を実践しました。この手法は、後にマクラーレンも導入することになります。

2010年シーズンの成績

2010年の冬季テストでは好調な成績が報告され、フェルナンド・アロンソをはじめとするドライバーから「ダークホース」として注目を集めていましたが、シーズンが始まるとフロントウィングの脱落やエンジントラブルが続き、特に新規参入チーム以外では唯一のノーポイントという厳しい結果に見舞われました。小林可夢偉はマシンの信頼性の低さに嘆き、テストの良好なタイムも燃料搭載量が少なかったためかもしれないとの見解が示されました。

その後、フォース・インディアから移籍したジェームス・キーがテクニカルディレクターに就任したことで改良が進行し、第7戦トルコGPで小林が10位に入賞し、その後第9戦ヨーロッパGPでも7位入賞を果たします。さらに、イギリスGPでは6位入賞、日本GPではヘアピンカーブでのオーバーテイクやレース展開を見せ、新たな力を示しました。

最終的には、シーズン中の19戦で37台が出走し、ザウバーは11回も入賞を果たし、チーム全体で44ポイントを獲得しました。小林可夢偉自身も全19戦中8回の入賞を達成しました。

エピソード

小林のC29には「朋子」という愛称があります。この名前はフジテレビ系列『すぽると!』に出演中、彼が女性らしい名前をマシンに付けたいと語ったことから生まれました。

スペック

• - シャーシ名: C29
• - 全長: 4,940mm
• - 全高: 1,000mm
• - エンジン名: フェラーリTipo056
• - 排気量: 2,398cc
• - 最高回転数: 18,000rpm

C29は、技術革新を取り入れたものの、信頼性の低さと安定性の欠如が課題となりながらも、ドライバーたちの努力によって印象的なシーズンとなったことが評価されています。

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