ザウバー・C30

ザウバー・C30 (Sauber C30)

ザウバー・C30は、2011年のF1世界選手権に向けてザウバーによって開発されたフォーミュラ1カーです。このマシンは、シーズンの開幕戦から最終戦まで実際にレースで使用されました。

開発背景

C30の開発は、長年ザウバーのエンジニアリング部門を率いていたウィリー・ランプに代わって、ジェームス・キーが主導しました。この車両は、フェラーリから供給されるKERSユニットを搭載しており、ギアボックスもフェラーリ製のものを使用しています。それに伴い、リアサスペンションは、フェラーリと同様のプッシュロッド式を採用しています。

2011年1月31日、スペインのバレンシア・サーキットでC30が発表され、その日の午後にドライバーの小林可夢偉がシェイクダウンを行いました。同年にはメキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスも新たに加わり、スポンサーシップの面でもメキシコ系の企業が増えることが発表されました。

2011年シーズンのスリル満点のレース

開幕戦のオーストラリアGPでは、ザウバーは7位と8位でダブル入賞を果たしましたが、不運にもリアウィングの寸法規定違反により失格となり、貴重な10ポイントを失いました。しかし、小林可夢偉はシーズンの前半戦で安定した成績を残し、第7戦のカナダGPでは赤旗中断前まで2位を走行する素晴らしい走りを見せました。

ペレスもその才能を示しましたが、第6戦のモナコGPでは重大なクラッシュを経験し、その後2レースを欠場する事態に見舞われました。さらに、FIAはエンジン排気の空力的利用を禁止する方針を発表しましたが、ザウバーはこの動きに反対。イギリスGP以降、オフスロットル・ブローイングの使用が再び認められたため、後半戦は厳しい展開となりました。

コンコルド協定に基づく報酬として、コンストラクターズランキングで6位に入ることが900万ユーロの受け取りに繋がるため、ザウバーはフォース・インディアやトロ・ロッソと熾烈な順位争いを繰り広げました。日本GPではフロントウィングやフロアなど様々なアップデートを施しましたが、最終的にはフォース・インディアに逆転を許し、トロ・ロッソをぎりぎり凌いで7位でシーズンを終えました。

C30の技術的スペック

ザウバー・C30は、以下のようなスペックを持つマシンです：

• - シャーシ名: C30
• - シャーシ構造: カーボンファイバーモノコック
• - 全長: 4,935 mm
• - 全幅: 1,800 mm
• - 全高: 1,000 mm
• - 前トレッド: 1,495 mm
• - 後トレッド: 1,410 mm
• - クラッチ: カーボンファイバー製
• - ブレーキキャリパー: ブレンボ
• - ブレーキディスク・パッド: カーボンインダストリー
• - サスペンション: 前後ダブルウィッシュボーン、スプリング・ダンパー内蔵、プッシュロッド（ザックス・レース・エンジニアリング）
• - ホイール: O・Z
• - タイヤ: ピレリPゼロ
• - ギアボックス: フェラーリ製、7速＋リバース1速のクイックシフトセミオートマチック
• - KERS: フェラーリ製
• - エレクトロニクス: MES
• - ステアリング: ザウバー製
• - 重量: 640kg（ドライバーを含む燃料タンクが空の状態）

エンジンはフェラーリTipo056で、V型8気筒のレイアウトを持ち、排気量は2,398cc、最高回転数は18,000rpmに設定されています。

C30は、フォーミュラ1界での激しい競争を象徴する存在であり、その多くの技術的な革新は今後のモデルにも影響を与えることでしょう。

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