ザウバー・C36

ザウバー・C36: 2017年のF1カー

ザウバー・C36は、スイスのザウバーチームが2017年のF1世界選手権に向けて開発したフォーミュラ1カーです。このマシンは2017年2月20日に正式に発表され、前テクニカルディレクターのマーク・スミスが設計を開始しましたが、彼の後任であるヨルグ・ザンダーにより開発が続けられました。ザンダーは、新車を披露する際に「ダウンフォースの最大化より、空力的安定性を重視した」と強調しています。

C36の外観は、F1参戦25周年を記念したブルーとゴールドのカラースキームが特徴的で、頭上のエアボックスが二分割されているデザインが目を引きます。また、このマシンはフェラーリの1年落ちのパワーユニットを搭載しており、技術的な要素にも工夫が凝らされています。

2017年シーズンの様子

このシーズンでは、ドライバーとしてマーカス・エリクソンが残り、パスカル・ウェーレインが新たにチームメイトとして加入しました。しかし、ウェーレインはレース・オブ・チャンピオンズでのクラッシュによる負傷のため、開幕から2戦を欠場し、その期間にはアントニオ・ジョヴィナッツィが代わりにレースを務めることになりました。

シーズン中、C36はしばしば予選で下位に沈むことが多かったものの、タイヤに優しい性質を活かした作戦が奏功し、ウェーレインは第5戦スペインGPで8位、第8戦アゼルバイジャンGPで10位という結果を出すことができました。タイヤ交換を1回少なくすることで他のチームに対抗し、セーフティカーが導入された際にフリーストップを狙うという戦術が効果を発揮したのです。

しかし、マシン性能は他チームに比べて劣っており、特にマクラーレンが第11戦ハンガリーGPでダブル入賞を果たしたことから、最終的にコンストラクターズランキングでは最下位に沈んでしまいます。

技術仕様

シャシーおよびサスペンション

ザウバー・C36は、カーボンファイバー製のモノコックシャシーを採用しており、フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン方式、リアサスペンションも同様にダブルウィッシュボーンを使用しています。サスペンションにはザックス・レース・エンジニアリング製のインボードスプリングおよびダンパーが組み込まれています。

ブレーキとトランスミッション

ブレーキ系統はカーボンファイバー製のブレンボキャリパー、ブレーキパッド、ブレーキディスクが使用され、高度な制動性能を確保しています。トランスミッションはフェラーリ製の8速クイックシフトシステムを搭載し、カーボンファイバー製のクラッチが付随しています。

エンジン性能

C36はフェラーリの061エンジンを搭載し、V6気筒の設計で排気量は1,600cc、最高回転数は15,000rpmに達します。また、シングルターボシステムを採用しており、エネルギー回生システム（ERS）により性能向上が図られています。

エンジンの最大燃料流量は100kg/h、燃料容量は105kgで、500バールの直接噴射が行われています。エネルギー回生システムは、バッテリー出力が4Mj、MGU-KとMGU-Hの最高回転数も高く設定され、全体として高い性能を誇ります。

まとめ

ザウバー・C36は、空力的な安定性を重視しつつ挑戦を重ねた2017年のF1カーです。技術特性やレース戦略の工夫によって、シーズンを通じて注目を集めましたが、マシンの競争力には限界がありました。将来の発展に向けた試みとして、C36は重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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