ザクセン自由州 (1918年-1952年)

ザクセン自由州：歴史と変遷

ザクセン自由州（ドイツ語: Freistaat Sachsen）は、1918年のドイツ革命によって消滅したザクセン王国の後を継いで成立したドイツの州です。その歴史は、ヴァイマル共和政からナチス・ドイツ、第二次世界大戦後のソ連占領、そしてドイツ民主共和国（東ドイツ）の州へと変遷し、1952年に県へと分割され解体されました。本稿では、ザクセン自由州の成立から解体、そして再建までの歴史を詳細に解説します。

自由州の成立

1918年11月8日、ドイツ革命の勃発直後、ザクセン労兵レーテ評議会はザクセン国王フリードリヒ・アウグスト3世に退位を要求しました。国王は軍にレーテへの攻撃を控えるよう命じ、11月13日に退位を宣言。11月15日には、ドイツ独立社会民主党のリヒャルト・リピンスキを首班とするザクセン共和国人民委員評議会が暫定政権として発足しました。11月28日には、21歳以上の男女に普通、平等、直接、秘密選挙権（比例代表制）を導入することが決定され、1919年2月2日の人民議会選挙を経て、2月25日に暫定憲法が成立し、ザクセン自由州が宣言されました。

1920年4月19日、ザクセン州務省は人民議会に憲法草案を提出しました。この草案は、暫定憲法とプロイセン自由州憲法の影響を受け、1919年8月11日のドイツ国憲法に適合するものでした。5月12日の第一読会で議論された後、人民議会は特別委員会を選出。ドイツ共産党を除く全ての政治勢力から選ばれた特別委員会によって、自由州憲法は10月26日に全会一致で採択され、11月1日に施行されました。

テューリンゲン州との境界調整

1928年にはテューリンゲン州との間で境界調整が行われ、ザクセン自由州の土地1,778ヘクタールと住民2,900人がテューリンゲン州へ、テューリンゲン州の土地1,115ヘクタールと住民4,890人がザクセン自由州へ移管されました。

ナチ党の台頭とザクセン自由州の終焉 (1933年～1945年)

1930年のザクセン州議会選挙で、ナチ党は14.4%の得票率を獲得し第二党に躍進しましたが、社会民主党が第一党の座を維持しました。選挙後、ドイツ人民党のヴァルター・シークが州首相に選出され内閣を組閣しましたが、ナチ党からの入閣はありませんでした。

1933年3月のドイツ国会選挙では、ザクセン自由州内の3選挙区のうち、ケムニッツ選挙区のみがナチ党の全国平均得票率を上回りました。その後の強制的同一化の過程で、ヒトラー内閣は1933年5月5日にマルティン・ムッチュマンをザクセン自由州の国家代理官に任命し、ムッチュマンは1935年に州首相職を引き継ぎました。

1934年1月30日のドイツ国再建に関する法（ライヒ新構成法）によって、ザクセン自由州は他の州と同様に自治権を停止され、ナチ党のザクセン大管区とほぼ一体化しました。第二次世界大戦末期の1945年2月13日と14日には、ドレスデンが連合国軍による大規模空爆によって壊滅的な被害を受けました。

第二次世界大戦後から解体まで (1945年～1952年)

1945年7月、在独ソ連軍政府は占領下の各地区に政府を置き、ザクセン州首相にはルドルフ・フリードリヒスが任命されました。ザクセン州では、1946年4月22日にドイツ社会民主党とドイツ共産党のザクセン州支部が統合され、ドイツ社会主義統一党が結成されました。

1946年10月20日に行われたザクセン州議会選挙では、ソ連の支援を受けたドイツ社会主義統一党が得票率49.1％で第一党となり、1947年2月には州憲法が採択されました。しかし、州議会のすべての決議は在独ソ連軍政府の承認を必要としました。1947年7月にフリードリヒスが死亡すると、マックス・セイデヴィッツが州首相となりました。

1949年10月にドイツ民主共和国が建国されると、1950年10月には第2回州議会選挙が行われましたが、これは事実上、ドイツ社会主義統一党率いる翼賛体制への信任投票でした。そして1952年7月、ドイツ民主共和国憲法の改正により州は解体され、ライプツィヒ県、ドレスデン県、ケムニッツ県（カール＝マルクス＝シュタット県）の3県に分割されました。

ドイツ再統一とザクセン州の再建

1990年3月、東ドイツ初の自由選挙でドイツ再統一を主張する保守連合が勝利し、7月23日に県を統合・再編して新たに5つの州が設置されました。人民議会は8月23日に新連邦州が西ドイツ基本法第23条に基づき、10月3日にドイツ連邦共和国に加盟することを決定し、ドイツ再統一が実現しました。

こうしてザクセン自由州は再建され、現在に至っています。

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