ザック AS-6

ザック AS-6 (Sack AS-6) の概要

ザック AS-6は、1940年代にドイツで試作されたユニークな設計の円盤翼飛行機です。開発者のアルトゥール・ザックは、1939年に自ら製作した円盤翼機の模型AS-1を動力付きモデル飛行機コンテストに出品し、その創造性が評価されたことで、ドイツ空軍の支援を受けることに成功しました。この成功が、彼の後の研究に大きな影響を与えることになりました。

設計と試作の歴史

AS-6の前に、ザックはAS-2からAS-5までの4つのモデルを開発しました。それぞれの試作機は次第に大きくなり、最終的には人間が搭乗可能な規模となりました。特に、1944年1月に製作された最終型のA.S.6V-1は、メッサーシュミット Bf109の部品を利用して精巧に設計されました。

1944年の2月、ブランディス飛行場でこの試作機の試験が開始されました。初回のテストは一部成功を収めましたが、4月16日に行われた3回目のテストでは、数メートルのジャンプに成功したものの、機体は安定せず、トルクに対抗することができませんでした。これにより、実用的な飛行には至らず、短い距離のジャンプのみにとどまりました。

運命と消失

ブランディス飛行場でのテストはその後も続けられましたが、着陸装置の損傷によりさらなる飛行試験は失敗に終わりました。他の飛行試験も記録に残る限りでは成功には至らず、最終的には機体は再び保管されました。しかし、1944年末から1945年初頭にかけての連合軍の空襲によって破壊されたとされています。

この試作機は、連合軍進駐後も残骸として発見されることはなく、破壊された部材は他の用途に転用された可能性が高いです。こうしてザック AS-6の試作プロジェクトは、歴史の中でひっそりと幕を閉じました。

スペック

• - 構造: 合板外皮木製構造
• - 動力: 空冷倒立V8 Argus As 10C-3, 240 hp
• - 翼巾: 5 m
• - 翼面積: 19.62 m²
• - 全長: 6.4 m
• - 全高: 2.56 m
• - 最大離陸重量: 900 kg

まとめ

ザック AS-6は、実際には空を自由に飛び回ることは叶わなかったものの、その試作過程は当時の航空技術における挑戦と革新の一環として記憶されるべき要素です。ジェット機やロケット技術が台頭する前の時代にあって、円盤翼のコンセプトは新たな可能性を秘めていました。航空機の歴史において、このような独創的な試みが行われていたことを知ることは、飛行技術の進化を理解する上で重要な視点となります。

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