ザップ (音楽グループ)

ザップ (Zapp) は、ロジャー・トラウトマンが中心となり、レスター、ラリー、テリーらトラウトマン兄弟を中心として1970年代に結成されたアメリカ合衆国のファンク・バンドです。

歴史

オハイオ州ハミルトン出身のトラウトマン兄弟は、デイトンでバンド活動をしていました。そこで幼なじみであったブーツィー・コリンズの紹介でジョージ・クリントンに見いだされます。Pファンクの前座として経験を積んだ後、1980年にデビューを果たしました。

特に、トーク・ボックスを自在に操るロジャーのヴォーカルは独特で、21世紀に至るまで後進のミュージシャンに大きな影響を与え続けています。

ファースト・アルバム『Zapp』には「モア・バウンス・トゥ・ジ・アウンス」が収録され、R&Bチャートで2位を獲得。アルバム自体もゴールド・ディスクに認定されるほどの成功を収めました。セカンド・アルバム『Zapp II』からは「ドゥー・ワ・ディティ」などがヒットしました。

1981年にはロジャーのソロ・アルバムが発表され、「悲しいうわさ」、「ドゥ・イット・ロジャー」、「ソー・ラフ、ソー・タフ」などのファンク・ナンバーがソウル・チャートを賑わせました。ちなみに、「悲しいうわさ」はマーヴィン・ゲイのカバー曲です。ロジャーとザップは、その後もウィルソン・ピケットやミラクルズなどの曲をカバーしています。

1980年代を通して、ザップはコンスタントにアルバムを発表し、ジェームス・ブラウンやPファンクの後継者はロジャーとプリンスであると評されることもありました。

しかし、1980年代末から90年代前半にかけて、サンプラーが普及すると、1980年代のザップのレコードが若いラップ世代の音楽制作の素材として多用されるようになります。

1990年、ロジャーはバンドで稼いだ資金をもとに建設会社を創業しますが、これが思わぬ苦難を招きます。建設会社は多額の負債を抱えて倒産し、兄弟間に亀裂が入ります。バンドの活動も、アフリカン・アメリカン音楽の主流がヒップホップに移っていったことや音楽性の行き詰まりから、1980年代ほどの勢いを維持できなくなってしまいました。それでも、日本での公演は何度か行っています。

そして1999年4月、悲劇が訪れます。ザップの元メンバーであったラリー・トラウトマンが、金銭上のトラブルからロジャーをショットガンで射殺し、自らも自殺してしまったのです。リーダーを失ったザップは1999年に解散しました。

その後、テリーがロジャー譲りのトーク・ボックスをプレイし、ZAPP名義での通算6作目となる『Zapp VI: Back By Popular Demand』をリリース。ライブを中心に活動を続けています。

ザップの日本でのプロモーターだったM&Iカンパニーの社員は、ロジャーについて、バンドのメンバーに厳格なルール遵守を求め、バンドマンにありがちな自堕落な行動は許さなかったと証言しています。その一方でユーモアに富んだ人物でもあり、M&Iカンパニーの社員たちからは尊敬と敬愛の念を持って見られていたそうです。

ディスコグラフィ

Zapp (1980)
Zapp II (1982)
Zapp III (1983)
The New Zapp IV U (1985)
Zapp V (1989)
Zapp VI: Back By Popular Demand (2002)

関連項目

スライ&ザ・ファミリー・ストーン
クール&ザ・ギャング
オハイオ・プレイヤーズ
ジョージ・クリントン
パーラメント
ファンカデリック
ジェームス・ブラウン
ロジャー・トラウトマン
グラハム・セントラル・ステーション
ファンク
* トーキング・モジュレーター

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