ザ・サニー・ファイブ

ザ・サニー・ファイブ（The Sunny Five）は、1960年代後半の日本の音楽シーンを彩ったグループ・サウンズ（GS）バンドの一つです。1967年に結成され、短命ながらもその活動は印象的な足跡を残しました。彼らはわずか2年後の1969年には解散しています。

概要と活動の軌跡

バンドの誕生は1967年8月に遡ります。当時人気を集めていたGSバンド、ザ・リンド&リンダースを脱退した中心メンバーであったボーカリストの高木和来と迎修二が新たなバンド結成へと動き出し、ザ・サニー・ファイブが始動しました。高木はボーカルに加え、ギターも担当していました。結成から間もない同年11月には、彼らは日本ビクターからシングル「太陽のジュディー」で待望のメジャーデビューを果たします。そのデビューに際して掲げられたキャッチフレーズは、「太陽の貴公子」というものでした。このフレーズは、バンドの持つ若々しさや華やかなイメージを聴衆に強く印象づけるものでした。

彼らがデビューした1967年という年は、日本におけるGSブームが最高潮を迎えようとしていた時期にあたります。日本ビクターは、この活況を呈する音楽ジャンルにおいて新たな才能を発掘し、市場に送り出すため、ポップス音楽に特化した新レーベル「VP番帯」を立ち上げました。ザ・サニー・ファイブは、このVP番帯レーベルから最初にデビューしたアーティストの一組として選ばれ、同時期にデビューしたザ・モップスやザ・ダイナマイツといった個性的なサウンドを持つバンドと共に、「ビクター3大ポップス・サウンド!!」という共通のくくりで大々的にプロモーションされました。これは、当時のレコード会社が新人バンドを戦略的に市場に投入し、ブームをさらに加速させようとした施策の一例として特筆されます。

ザ・サニー・ファイブが活動期間中に発表した全てのシングル楽曲は、作曲および編曲をいずみたく氏が担当しました。いずみたく氏は、テレビドラマや映画音楽、ミュージカル、CMソングなど多岐にわたる分野で数多くのヒット曲を生み出し、日本の音楽界に大きな影響を与えていた著名な音楽家です。彼のプロデュースワークが、ザ・サニー・ファイブのサウンドカラーを決定づける重要な要素となりました。

メンバー構成

バンドは当初、7名のメンバーで構成されていました。興味深いのは、公式なクレジットにおいて全員がボーカルも兼任していたという点です。各メンバーの生年は1948年前後に集中しており、当時のGSシーンで活躍した多くのミュージシャンと同世代でした。

主要メンバーは以下の通りです。

高木和来（たかぎかずゆき）：ボーカル、ギター。1948年 11月15日生まれ。2007年12月に逝去。結成の中心メンバーであり、元ザ・リンド&リンダース。
大島治郎（おおしまじろう）：ボーカル。1948年 10月7日生まれ。
迎修二（むかいしゅうじ）：ボーカル。1949年 12月20日生まれ。結成の中心メンバーであり、元ザ・リンド&リンダース。
中輝彦（なかてるひこ）：ボーカル、ギター。1948年 3月3日生まれ。
武田信平（たけだしんぺい）：ボーカル、ベース。1948年 7月8日生まれ。
奥本伸蔵（おくもとしんぞう）：ボーカル、キーボード、ピアノ。1948年 9月26日生まれ。
三浦和男（みうらかずお）：ドラムス。1948年 2月19日生まれ。結成時のドラマー。

活動期間中の1968年にはメンバーの交代があり、ドラムスの三浦和男が脱退した後、新たにサンダー永野がドラムスとして加入しました。サンダー永野も1948年生まれです。

ディスコグラフィー

ザ・サニー・ファイブが公式にリリースしたシングルレコードは以下の3枚です。これらは全て日本ビクターのVP番帯から発売され、いずみたく氏が楽曲を手掛けました。

太陽のジュディー / 涙のファースト・ラブ （1967年11月）
白鳥のバラード / 花のような少女 （1968年4月）
想い出の京都 / 夜明けまで踊ろう （1968年8月）

これらの楽曲は、当時のGSサウンドの一端を示すものとして、現在も記憶されています。

解散とその後の影響

ザ・サニー・ファイブは、1969年に解散し、活動に終止符を打ちました。彼らの活動期間は短かったものの、「太陽の貴公子」というキャッチフレーズや、日本ビクターの新レーベルにおける初期プッシュアーティストとして、当時のGSシーンに確かに存在感を放っていました。GSブーム全体が沈静化に向かう時期ではありましたが、ザ・サニー・ファイブは、1960年代後半の日本のポピュラー音楽史において、グループ・サウンズの一角を担ったバンドとして、その名が残されています。

もう一度検索