ザ・ザ

ザ・ザ（The The）：変幻自在の音楽プロジェクト

ザ・ザは、イギリスのミュージシャン、マット・ジョンソンが中心となって結成された音楽プロジェクトです。1979年のデビュー以来、メンバー構成は流動的で、マット・ジョンソンのソロプロジェクトという側面も持っています。彼の音楽性は常に変化を続け、その独創的なサウンドと、社会や政治に対するメッセージ性の強い歌詞で、多くのファンを魅了してきました。

初期の評価と成功

デビュー当初から、ザ・ザは批評家からの高い評価を受けていました。1983年にリリースされたアルバム『ソウル・マイニング』は、音楽誌『メロディー・メイカー』の年間ベストアルバムで第3位に選ばれるなど、その音楽性の高さが認められました。1989年には、バンド形態での活動を開始し、アルバム『マインド・ボム』をリリース。このアルバムは、国際的にもミリオンセラーを記録し、ザ・ザの名を世界に広めました。

物議を醸した歌詞とアートワーク

ザ・ザの音楽は、その政治的な歌詞でしばしば物議を醸しました。特に、1986年のシングル「ハートランド」では、第二次世界大戦後のイギリスがアメリカの政治・軍事的な影響下にある状況を批判し、「ここはアメリカ合衆国の51番目の州なのさ」という歌詞が放送禁止処分を受けました。また、『マインド・ボム』に収録されている「アルマゲドン・デイズ」では、宗教対立が引き起こす戦争と世界の終焉をテーマに取り上げるなど、社会的な問題にも積極的に言及しました。

アルバムのジャケットやスリーブのデザインは、マット・ジョンソンの実弟であるアンディ・ドッグ・ジョンソンが担当していました。彼の描く暗く自虐的な絵は、時に議論を呼び、シングル「インフェクテッド」のジャケットが回収されるという騒動も起きました。その後、限定カバーイラストに差し替えられ再リリースされるなど、アートワークもザ・ザの大きな特徴の一つでした。しかし、2008年の再発盤では、マットのセピア調ポートレートに差し替えられたものもあります。

日本公演と多様なメンバー

1990年には、ザ・ザにとって唯一となる日本公演が実現しました。ザ・ザは、マット・ジョンソンを中心に、多くのミュージシャンが参加しており、そのメンバー構成は時代とともに変化しています。公式メンバーとして、キーボード奏者のキース・ロウズや、ギタリストのジョニー・マーなどが在籍していました。

音楽性と影響

ザ・ザの音楽は、その時代背景を色濃く反映しています。ピーター・バラカンは、ザ・ザの音楽を「強烈な説得力と歯に衣着せぬ歌詞で、（サッチャー支配だった）80年代イギリスの記録として重要」と評しています。また、ザ・ザは、音楽面だけでなく、そのアートワークや歌詞を通じて、社会的な問題にも積極的に向き合い、リスナーに問いかけ続けています。

主要メンバー

マット・ジョンソン (Matt Johnson) - ボーカル、ギター、キーボードなど (1979年–)
バーリー・カドガン (Barrie Cadogan) - リード・ギター
D.C.コラード (DC Collard) - キーボード
ジェームズ・エラー (James Eller) - ベース
アール・ハーヴィン (Earl Harvin) - ドラム

ディスコグラフィー

『バーニング・ブルー・ソウル』 - Burning Blue Soul (1981年) ※最初はマット・ジョンソン名義、後にザ・ザ名義で再リリース
『魂の彫刻』 - Soul Mining (1983年)
『インフェクテッド』 - Infected (1986年)
『マインド・ボム』 - Mind Bomb (1989年)
『ダスク』 - Dusk (1993年)
『ソリテュード』 - Solitude (1993年)
『ハンキー・パンキー』 - Hanky Panky (1995年)
『ネイキッドセルフ』 - NakedSelf (2000年)

外部リンク

This is The The Day - 公式ウェブサイト
ザ・ザ - Myspace
True Happiness This Way Lies
The Ultimate The The Discography
TheThe Bootleg Discussion Forum
* TheThe Regresando a Casa...

ザ・ザは、マット・ジョンソンの音楽的探求と、時代を映すメッセージが込められた、他に類を見ない音楽プロジェクトです。その作品は、今もなお多くの音楽ファンに影響を与え続けています。

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