ザ・ダンサー

『ザ・ダンサー』：伝説的ダンサー、ロイ・フラーの生涯を描いた感動作

2016年公開のフランス・ベルギー合作映画『ザ・ダンサー』（原題：La Danseuse）は、19世紀末に活躍した伝説的ダンサー、ロイ・フラーの生涯をドラマチックに描いた伝記映画です。ステファニー・ディ・ジュースト監督の長編デビュー作であり、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも出品されました。

ロイ・フラー：モダンダンスの祖

ロイ・フラーは、現代舞踊の先駆者として知られる実在の人物です。独自のダンススタイルで一世を風靡し、「モダンダンスの祖」と称えられるほど大きな影響を与えました。本作では、彼女が故郷を離れ、ニューヨークからパリへと舞台を移し、数々の困難を乗り越えながら頂点へと上り詰める姿が描かれています。

ストーリー：夢と成功、そして葛藤

物語は、ロイ・フラーが父親を亡くしたことをきっかけに、故郷アメリカからニューヨークへ、そしてパリへと渡るシーンから始まります。華やかなパリの舞台で成功を収める一方で、ライバルとの競争や、周囲の人間関係、そして自身のアイデンティティとの葛藤といった、数々の苦悩にも直面します。

特に、彼女と才能あふれる若きダンサー、イサドラ・ダンカンとの関係は物語の重要な要素となっています。彼女たちの出会いと競争、そして友情は、ロイ・フラーの複雑な内面を浮かび上がらせる重要な要素となっています。

キャスト：豪華俳優陣が集結

ロイ・フラーを演じるのは、フランスの女優ソーコ。彼女の圧倒的な存在感と繊細な演技は、ロイ・フラーという複雑な人物像を見事に体現しています。

他にも、イサドラ・ダンカン役にリリー＝ローズ・デップ、ロイ・フラーのマネージャー役にメラニー・ティエリー、そしてロイ・フラーを見出した没落貴族役にギャスパー・ウリエルなど、実力派俳優たちが脇を固めています。さらに、日本を代表する女優・川上貞奴も登場し、国際色豊かなキャストが物語に華を添えています。

製作：綿密な準備とこだわり

本作は、ワイルドバンチが国際的な権利を販売し、ステファニー・ディ・ジュースト監督、トマ・ビデガン、サラ・チボーによる脚本で制作されました。当初イサドラ・ダンカン役にはエル・ファニングがキャスティングされる予定でしたが、変更がありました。アラン・アタルがプロデュースを担当し、ジョディ・スパーリングがクリエイティブ・コンサルタントとして制作に参加しました。ロイ・フラーのダンスシーンは、専門の振付師とソーコの徹底的なトレーニングによって実現しています。撮影期間は2015年9月28日から12月10日まで。

作品の評価：賛否両論

本作は、フランスのメディアからは平均点3.4点（5点満点）という評価を得ています。Rotten Tomatoesでは、29件のレビューのうち17件が高評価で、平均点は4.9点（10点満点）となっています。批評家の意見は分かれていますが、ロイ・フラーの人生と芸術に対する高い評価が伺えます。

まとめ：忘れかけていた偉大なダンサーの物語

『ザ・ダンサー』は、単なる伝記映画にとどまらず、情熱と葛藤、そして成功と挫折を繰り返しながらも、自身の芸術を追求し続けた一人の女性の物語です。美しくも激しいロイ・フラーのダンス、そして彼女を取り巻く人々のドラマを通して、19世紀末のパリという時代背景を感じ、忘れかけていた偉大なダンサーの人生を鮮やかに描き出しています。この映画は、ロイ・フラーという人物と、彼女が築き上げた功績を改めて知る機会を与えてくれます。

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