ザ・ビートルズ・アンソロジー3

ザ・ビートルズ・アンソロジー3：ビートルズ最後の秘蔵音源集

1996年リリースの『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』は、世界中のビートルズファンを熱狂させた、シリーズ完結編となるコンピレーションアルバムです。CDリリース後、3枚組LPレコードでも発売され、その人気は衰えることを知りませんでした。本作には、1968年の『ザ・ビートルズ』（通称ホワイトアルバム）から1970年の『レット・イット・ビー』までの期間に制作された、未発表音源や別テイクが多数収録されています。まさに、ビートルズの歴史の最終章を彩る珠玉の楽曲の数々が収められていると言えるでしょう。

シリーズの前2作、『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』と『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』では、ジョン・レノンのデモテープをもとに制作された「フリー・アズ・ア・バード」と「リアル・ラヴ」が新曲として収録され話題を呼びました。そして本作にも、レノンのデモテープ「ナウ・アンド・ゼン」が収録候補として上がりましたが、残念ながら、デモ音源に含まれるノイズの完全除去が困難であったこと、そしてポール・マッカートニーが「ジョージが気に入らなかった」と語ったことから、最終的にはお蔵入りとなりました。

しかし、その代わりに収録されたのが、プロデューサーであるジョージ・マーティンによるオーケストラのインストゥルメンタル曲「ア・ビギニング」です。この曲は、リンゴ・スター作曲の『ホワイト・アルバム』収録「ドント・パス・ミー・バイ」のイントロとして作曲されたものの、最終的に使用されなかった楽曲でした。この意外な選曲も、本作の魅力の一つと言えるでしょう。

アルバムジャケットのアートワークは、『リボルバー』のジャケットデザインでも知られるクラウス・フォアマンによるものです。『レット・イット・ビー』のアルバムジャケットをイメージソースに、ビートルズらしい、それでいて新しいデザインとなっています。CDレーベルには、『アンソロジー1』と『アンソロジー2』と同様にアップルレーベルが使用されています。

さらに、本作に収録された『ホワイト・アルバム』、『アビイ・ロード』、『レット・イット・ビー』からのデモ音源やアウトテイクの一部は、それぞれのアルバムのスペシャルエディションにも収録されています。ただし、ミックスの違いなど、細かな差異も存在します。これらの違いを比較検討するのも、ビートルズファンにとって大きな楽しみとなるでしょう。

収録曲は、レノン＝マッカートニーの作品が中心ですが、リンゴ・スターの作品も含まれています。また、Apple Musicでの表記と公式サイトの邦題表記に差異がある場合もあるため、注意が必要です。CD、アナログLP、カセットテープといった様々なフォーマットで発売されたことも、当時の音楽シーンを反映しており、興味深い点です。

『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』は、単なるコンピレーションアルバムではなく、ビートルズの音楽史における重要な位置を占める作品です。未発表音源や別テイクを通して、彼らの創作過程や、楽曲への想いを垣間見ることができる貴重な資料となっています。彼らの音楽に少しでも興味のある方は、ぜひ一度聴いてみることをお勧めします。そして、その奥深い音楽世界に浸ってみてください。

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