ザ・ビートルズ1962年〜1966年

ザ・ビートルズ1962年〜1966年について

『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』は、1973年に登場したビートルズの代表曲を集めたコンピレーション・アルバムで、アナログLPの2枚組としてリリースされました。特にジャケットの色合いから『赤盤』という愛称で多くのファンに親しまれています。このアルバムは、ビートルズの初期活動時の1962年から1966年までの楽曲が収められており、ビートルズの魅力を凝縮した内容となっています。

アルバムの背景

このアルバムが誕生するきっかけとなったのは、1973年にアメリカで流通した海賊版『AΩ（ビートルズ・アルファ・オメガ）』でした。この4枚組のコンピレーションは59曲を収録し、正規のビートルズの音源からコピーされた音質の良さと、ソロ活動の人気曲も含まれていたため、驚異的なヒットを記録しました。この事態に危機感を抱いたキャピタル・レコードとビートルズのマネージャー、アラン・クレインは、公式ベストアルバムの企画を急遽立ち上げることになりました。

選曲に関しては、ジョージ・ハリスンを説得してサポートを得たクレインが、海賊盤に対抗するための戦略を練ったとされています。元々はハリスンとクレインが選曲を担当していたと考えられていますが、実際にはクレインの指示の下、アップル・レコードのアメリカ地区責任者アラン・ステックラーがこの作業を行いました。リリースが迫る中、クレインはビートルズ側からのマネジメント契約更新を拒否され、アップル・コアを離れるという事態に至ります。そのため、リリース時のプロモーションではハリスンが選曲したと紹介されました。

収録曲

アルバムには、イギリスのオリジナル・シングルからの15曲、アメリカ独自のシングル4曲、アルバムのみの7曲が収められ、全26曲がラインナップされています。全ての楽曲はレノン＝マッカートニーによるもので、カバー曲やハリスンの楽曲は収録されていません。特に注目すべきは、アメリカ盤とイギリス盤で若干の違いがある点です。アメリカ盤では「ヘルプ!」の前に「ジェームズ・ボンドのテーマ」風の楽曲が挿入されています。

このアルバムは、アメリカのBillboard 200で第3位に達し、1973年度年間ランキングでは32位となりました。また、イギリスの全英アルバムチャートでも最高第3位に輝き、驚異的なセールスを記録。アメリカ国内で700万セット以上、世界全体では2000万セット以上の売上を誇ります。日本でも約205万組が出荷されるなど、広範な人気を誇っています。

アートワークとジャケットデザイン

アルバムのジャケットデザインは、トム・ウィルクスによって手がけられました。表面には、ビートルズのデビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の際に撮影された別ショットが用いられています。裏面には、未発表アルバム『ゲット・バック』用の写真が使用されました。また、見開き部分の写真は1968年の「マッド・デイ・アウト」フォト・セッションの際に撮影されたもので、ビートルズが群衆の中にいる様子が捉えられています。

再リリース

1993年には、デジタル・マスタリング版として再発売され、音質が改善されました。さらに、2010年にもリマスター版が登場し、最新の技術を使って改良が加えられました。2023年11月には発売50周年を迎えるにあたり、12曲が追加収録された新たなエディションが登場し、デジタル配信やアナログLPの形でリリースされることになりました。このように、時代を超えて愛され続けるビートルズの音楽とその魅力は、今もなお色褪せることなく、多くのファンに楽しまれています。

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