ザ・ランナウェイズ

ザ・ランナウェイズは、1970年代に活躍したアメリカのガールズロックバンドです。メンバーは、シェリー・カーリー（ボーカル、キーボード）、ジョーン・ジェット（ギター、ボーカル）、リタ・フォード（ギター）、ジャッキー・フォックス（ベース）、サンディ・ウェスト（ドラム）で構成されていました。彼女たちは、その過激なルックスとパンク・ロックなサウンドで、日本を中心に熱狂的な人気を博しました。

結成

1975年、ドラマーのサンディ・ウェストとギタリストのジョーン・ジェットが、プロデューサーのキム・フォウリーの紹介で出会い、バンド結成の第一歩を踏み出しました。当初は、ミッキ・スティールを加えてトリオとして活動を始めましたが、その後リタ・フォードが加入。スティールは脱退し、ペギー・フォスターを経て、ボーカリストのシェリー・カーリー、ベーシストのジャッキー・フォックスが加入し、デビュー時のラインナップが完成しました。

デビューから人気爆発へ

1976年、マーキュリー・レコードと契約し、デビューアルバム『悩殺爆弾〜禁断のロックン・ロール・クイーン』をリリース。各メンバーは、デヴィッド・ボウイ、スージー・クアトロ、リッチー・ブラックモア、ジェフ・ベック、ロジャー・テイラー、ジーン・シモンズといったアーティストを参考に、それぞれのキャラクターを確立しました。

1977年には、セカンドアルバム『クイーンズ・オブ・ノイズ』をリリース。パンク・ムーブメントの波に乗り、バンドはワールドツアーを敢行。特に日本では、アバやキッス、レッド・ツェッペリンと肩を並べるほどの人気を博し、空港には大勢のファンが押し寄せました。来日公演を収録した『ライヴ・イン・ジャパン』はゴールドディスクを獲得しましたが、このツアー中にジャッキー・フォックスが脱退。後任にヴィッキー・ブルーを迎えるも、バンドの看板であったシェリー・カーリーも脱退。ジョーン・ジェットがメインボーカルを務めることになりました。

その後、体制を立て直したバンドは4枚目のアルバム『ウェイティン・フォー・ザ・ナイト』を発表し、ラモーンズと共にワールドツアーを行いました。一方、カーリーはソロ活動を開始し、単独でツアーを行っています。

解散

1978年、金銭問題や音楽性の不一致から、長年のパートナーであったキム・フォウリーとの関係を解消。マーキュリー・レコードとの契約も解除しました。ブロンディやスージー・クアトロを手がけたトビー・マミズとマネジメント契約を結び、ヴィッキー・ブルーが脱退した後はローリー・マカリスターを迎え、バンドは荒れたロックンロール的生活を送りました。同年、ジョン・アルコックをプロデューサーに迎えてアルバム『クレイジー・ナウ』をリリースしましたが、パンク・ロックを追求したいジェットと、ハードロック志向のフォード、ウェストとの間で意見が対立。1979年、バンドは解散に至りました。

メンバーのその後

ジョーン・ジェットはソロで「アイ・ラブ・ロックンロール」を大ヒットさせ、リタ・フォードもソロで成功を収めました。初期メンバーのミッキ・スティールは、後にバングルスに加入しています。ドラマーのサンディ・ウェストは、2006年に肺がんで亡くなりました。ジャッキー・フォックスは弁護士に転身。ハーバード大学時代には、バラク・オバマ元大統領と同級生でした。

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

『悩殺爆弾〜禁断のロックン・ロール・クイーン』 (1976年)
『クイーンズ・オブ・ノイズ』 (1977年)
『ウェイティン・フォー・ザ・ナイト』 (1977年)
『クレイジー・ナウ』 (1978年)

ライブ・アルバム

* 『ライヴ・イン・ジャパン』 (1978年)

コンピレーション・アルバム

多数


ザ・ランナウェイズは、短い活動期間ながらも、強烈な個性を放つ女性だけのロックバンドとして、音楽史にその名を刻みました。特に日本では、その人気は社会現象となり、後世のガールズバンドに大きな影響を与えました。

もう一度検索