ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟

ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟（BSW）

ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟（Bündnis Sahra Wagenknecht、BSW）は、2024年1月に設立されたドイツの比較的新しい政党です。正式名称は「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟＝理性と公正のために」で、ドイツ連邦議会議員であり、社会的に著名なザーラ・ワーゲンクネヒト氏が中心となって設立されました。

歴史と設立の背景

この党は、ザーラ・ワーゲンクネヒト氏が2023年10月に左翼党（Die Linke）を離党したことがきっかけとなり、彼女の支持者や旧左翼党のメンバーを中心に結成されました。多くのメディアは、この新党を左派ポピュリズム政党と見ています。2024年1月27日には結党大会が開かれ、正式に発足しました。

設立の目的は、既存の政党に対する国民の不信感の高まりを受け、無党派層からの支持を得ることにあります。党の定款には、政治に対する信頼を失った人々が、既成政党以外の選択肢を求めている現状が指摘されており、BSWはこれらの層をターゲットにしています。また、ドイツの政治的意思決定に国民とともに参加し、必要であれば他の政党とも協力する姿勢を示しています。

設立に向けた動き

2023年9月には、社団法人「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟＝理性と公正のために」が設立され、党の定款が作成されました。同年10月には、ザーラ・ワーゲンクネヒト氏、アミラ・モハメド・アリ氏、クリスティアン・レイエ氏などの主要メンバーが新党の設立を発表し、指導部を形成しました。同時に、ヴァーゲンクネヒト氏を含む10人の連邦議会議員が左翼党を離党しました。

ザーラ・ワーゲンクネヒト氏は、新党設立に向けて積極的に活動し、オスカー・ラフォンテーヌ氏の元スポークスマンや、左翼党の広報担当者などを党創立メンバーに加えました。過去の政治集団の設立・運営の失敗を踏まえ、今回は慎重に準備を進め、不適格な人物の入党を避ける方針が強調されました。

党の構成と綱領

2024年1月8日、ベルリンで44人の党員によって正式に党が創立されました。共同党首には、ザーラ・ワーゲンクネヒト氏とアミラ・モハメド・アリ氏が就任しました。党員数は、同年中に予定されている各種選挙に向けて、急速に増加しています。

党綱領については、2025年のドイツ連邦議会選挙までに完成させる予定であり、選挙後には党名の見直しも検討されています。2024年欧州議会議員選挙に向けた基本政策大綱は、同年1月末までに発表される予定です。

連邦議会での活動と地方組織

BSW所属の議員は、連邦議会での会派結成を目指し、議長に申請を行いました。2023年12月には、ヴァーゲンクネヒト氏が議員団代表に、クラウス・エルンスト議員が副代表に選出されました。また、地方議会にも議員を擁しており、ベルリン市議会議員やハンブルク市議会議員などが所属しています。

2024年2月にはザクセン州、3月にはテューリンゲン州で最初の地方州組織が設立されました。

選挙結果

BSWにとって最初の選挙は、2024年5月のテューリンゲン州地方自治体選挙でした。いくつかの郡や郡議会で議席を獲得し、一定の支持を得ました。しかし、2025年2月23日の連邦議会選挙では、得票率が5％の阻止条項にわずかに届かず、議席獲得はなりませんでした。一方で、古巣の左翼党は躍進を遂げています。

ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟は、ドイツの政治状況に新たな風を吹き込む存在として、今後の動向が注目されています。

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