シアター・オブ・ペイン

モトリー・クルーの3rdアルバム『シアター・オブ・ペイン』（Theatre Of Pain）は、1985年にリリースされ、全米アルバムチャートで最高6位を獲得しました。

前作『シャウト・アット・ザ・デヴィル』のヘヴィメタル路線から一転し、グラム・ロックの要素を取り入れたポップなサウンドが特徴です。音楽性だけでなく、ファッションもグラム・ロックに接近したことで、新たなファン層を獲得しました。

しかし、バンドのリーダーであるニッキー・シックスは、当時メンバー全員が薬物やアルコール中毒に苦しんでいた状況下で制作されたため、本作に必ずしも満足しているわけではないと語っています。困難な状況下での制作が、作品にどのような影響を与えたのか、様々な議論を呼んでいます。

アルバムからは、「ホーム・スウィート・ホーム」と、ブラウンズヴィル・ステーションのカバー「スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム」がシングルカットされました。特に「ホーム・スウィート・ホーム」は、トミー・リーがピアノを演奏したバラードであり、モトリー・クルーの新たな一面を示す楽曲として、現在でも高い人気を誇っています。リンプ・ビズキットがアルバム『グレイテスト・ヒッツ』で、「ビター・スウィート・シンフォニー」（ザ・ヴァーヴのカバー）とのメドレーという形でカバーしたことでも話題となりました。

1998年と2003年のレーベル移籍の際には、ボーナストラックやエンハンスド・ビデオトラックが追加収録され、より一層充実した内容となっています。

また、このアルバムは、前年にヴィンス・ニールが起こした交通事故で亡くなったハノイ・ロックスのドラマー、ラズルに捧げられています。ラズルの死は、モトリー・クルーのメンバーに大きな衝撃を与え、本作の制作にも深い影響を与えました。

収録曲は以下の通りです。

1. シティ・ボーイ・ブルース - City Boy Blues
2. スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム - Smokin' In The Boys Room
3. ラウダー・ザン・ヘル - Louder Than Hell
4. キープ・ユア・アイ - Keep Your Eye On The Money
5. ホーム・スウィート・ホーム - Home Sweet Home
6. トゥナイト - Tonight (We Need A Lover)
7. ユーズ・イット・オア・ルーズ・イット - Use It Or Lose It
8. セイヴ・アワ・ソウルズ - Save Our Souls
9. レイズ・ユア・ハンズ - Raise Your Hands To Rock
10. ファイト・フォー・ユア・ライツ - Fight For Your Rights
11. ホーム・スウィート・ホーム（デモ） - Home Sweet Home(Demo)＊ボーナストラック
12. スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム（オルタネイト・ギター・ソロ） - Smokin' In The Boys Room(Alternate Guitar Solo-Rough Mix) ＊ボーナストラック
13. シティ・ボーイ・ブルース（デモ） - City Boy Blues(Demo)＊ボーナストラック
14. ホーム・スウィート・ホーム（インストゥルメンタル・ラフ・ミックス） - Home Sweet Home(Instrumental Rough Mix)＊ボーナストラック
15. キープ・ユア・アイ（デモ） - Keep Your Eye On The Money(Demo)＊ボーナストラック
16. トミーズ・ドラム・ピース・フロム・チェロキー・スタジオ - Tommy's Drum Piece from Cherokee Studios＊ボーナストラック
17. ホーム・スウィート・ホーム - Home Sweet Home ＊エンハンスド・ビデオトラック

参加ミュージシャンは以下の通りです。

ヴィンス・ニール (Vince Neil) - ボーカル
ミック・マーズ (Mick Mars) - ギター
ニッキー・シックス (Nikki Sixx) - ベース
トミー・リー (Tommy Lee) - ドラム、ピアノ

『シアター・オブ・ペイン』は、モトリー・クルーの音楽性の幅広さを示すとともに、彼らの抱える苦悩や葛藤を垣間見ることができる作品として、現在も多くのファンに愛され続けています。

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