シアトル・コンピュータ・プロダクツ

シアトル・コンピュータ・プロダクツ（SCP）

シアトル・コンピュータ・プロダクツ（Seattle Computer Products、SCP）は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルに拠点を置くコンピュータハードウェア企業でした。1970年代後半から1980年代前半にかけて、インテル社の8086プロセッサを搭載したコンピュータの製造で知られています。

創業と初期の活動

SCPは、初期のパーソナルコンピュータ市場において重要な役割を果たしました。同社は、8086プロセッサを使用したコンピュータを開発・製造した初期の企業の一つであり、当時としては最先端の技術を駆使していました。また、地域社会とのつながりを重視し、近隣の高校生を従業員として雇用し、コンピュータの組み立てや半田付け作業を行わせていました。この経験を通じて、後にマイクロソフトで活躍する人材も輩出しました。

86-DOSの開発とマイクロソフトとの関係

1978年6月、当時22歳のティム・パターソンが社長のロッド・ブロックによって雇用されました。1980年、パターソンはわずか4ヶ月という短期間で86-DOS（別名QDOS）というオペレーティングシステム（OS）を開発しました。このOSは、後にパーソナルコンピュータの歴史を大きく変えることになります。

当時、マイクロソフトはIBM Personal Computer（IBM PC）向けのオペレーティングシステムを探していました。1980年12月、マイクロソフトはSCPから86-DOSを他の製造業者に販売する権利を25,000ドルで購入しました。その後、IBM PCの発売前に、さらに50,000ドルを支払い、86-DOSのすべての権利を取得しました。このOSは、後にMS-DOSとして広く普及し、マイクロソフトに莫大な利益をもたらしました。

訴訟と和解

SCPは、マイクロソフトがMS-DOSで巨額の利益を得ていることを知り、自社も8086プロセッサ向けのオペレーティングシステムを低価格で販売しようとしました。しかし、マイクロソフトとの契約では、SCPがオペレーティングシステムを販売できるのは、CPUとセットにした場合に限られていました。そのため、SCPは「Seattle DOS」という商品名でCPUとセットで販売しました。

SCPは、マイクロソフトがIBMを顧客であることを明かさなかったこと（契約上はマイクロソフトの行為は正当とみなされました）を理由に、マイクロソフトを搾取であるとして訴えました。1986年、マイクロソフトはSCPに100万ドルを追加で支払うことで和解しました。

事業の終焉

インテル8086システム市場がIBM PC互換機によって占められるようになったことで、SCPは事業を継続することが困難になり、その後、事業を停止しました。

SCPの所在地

シアトル・コンピュータ・プロダクツの住所は、1114 Industry Dr. Seattle WA 98188でした。

ロッド・ブロックの名刺

ロッド・ブロックの名刺には、「社長 / ゼネラルマネージャー」という役職が記載されています。

まとめ

SCPは、初期のパーソナルコンピュータ業界において重要な役割を果たした企業でした。特に、86-DOSの開発は、その後のコンピュータ業界の発展に大きな影響を与えました。マイクロソフトとの間の訴訟は、ソフトウェアビジネスにおける契約や権利の重要性を示す事例として、語り継がれています。

参考文献

Wikipedia: Seattle Computer Products (英語)

関連項目

IBM PC
DOS
CP/M|CP_M
86-DOS
MS-DOS - QDOSはマイクロソフトのMS-DOSのベースとなった

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