シアーズ・ホールディングス

シアーズ・ホールディングス

シアーズ・ホールディングス（Sears Holdings）は、アメリカ合衆国イリノイ州に本社を置いていた小売業の持株会社である。2005年に、アメリカの大手百貨店チェーンであるシアーズ（Sears, Roebuck and Company）と、ディスカウントストアチェーンのKマート（Kmart）が経営統合することで誕生した。

同社は、子会社を通じてアメリカ合衆国を中心にスーパーマーケットやディスカウントストア、百貨店などの小売店舗を広範囲に展開していた。統合当初は、北米全体で約4,000店舗を運営する巨大な小売グループであった。

主な店舗チェーンとしては、中核ブランドである「Kmart」およびその派生業態である「ビッグKmart」、「スーパーKmart」、そして「シアーズ」ブランドの店舗（アメリカ、カナダ、メキシコなど）があった。また、これらの店舗を通じて、自社開発や独占販売の様々な商品ブランドを展開していた。主要な自社ブランドには、アウトドア・アパレルなどを扱う「ランズエンド（Lands' End）」（後に分社化）、家庭用品の「コンパニオン（Kenmore）」、バッテリーやタイヤなどの自動車関連製品「ダイハード（DieHard）」、工具ブランドとして有名な「クラフツマン（Craftsman）」、ファッションブランドの「ジャクリーン・スミス（Jaclyn Smith）」や「ジョー・ボクサー（Joe Boxer）」など、多岐にわたる商品群を扱っていた。

しかし、21世紀に入り、Amazonなどのインターネット通販（Eコマース）が急速に台頭し、消費者の購買行動が実店舗からオンラインへと大きくシフトしたことが、同社の経営に深刻な影響を与えた。顧客の減少は避けられず、経営状況は悪化の一途をたどった。

経営再建を目指し、採算の取れない多数の店舗を閉鎖し、人員削減といったリストラ策を積極的に実施した。しかし、こうした努力もむなしく、業績の回復には繋がらなかった。特に2011年以降は、最終損益が毎期赤字となり、慢性的な経営不振に陥った。累積する多額の債務が経営を圧迫し、資金繰りは限界に達した。

その結果、経営に行き詰まったシアーズ・ホールディングスは、2018年10月15日にアメリカ連邦倒産法第11章の適用を申請することを余儀なくされた。これは、会社を清算するのではなく、法的な保護下で事業を継続しながら経営再建を目指す手続きである。同社は倒産法の手続きを経て、事業の立て直しを図ることとなった。

なお、特筆すべき点として、過去にダイエーグループが日本国内で展開していたスーパーマーケット・コンビニエンスストアチェーンの「Kmart」（ケイマート）とは、名称が類似しているものの、シアーズ・ホールディングスの前身であるアメリカのKmartとは資本的・人的な関連は一切ない。

事業とは別に、同社はスポンサー活動も行っていた。子会社のクラフツマンは、NASCARトラックシリーズにおいて1995年から2008年まで冠スポンサーを務めた実績がある。また、ABCのリアリティ番組『エクストリーム・メイクオーバー: ホーム・エディション』の番組スポンサーとなっていた時期もある。さらに、多目的アリーナである「シアーズ・センター」（現在のウィントラスト・アリーナ）の命名権を保有していたことも知られている。

このように、シアーズ・ホールディングスは、かつてアメリカを代表する巨大小売企業であったが、時代の変化に対応できず、経営不振の末に倒産法適用申請に至った、現代の小売業界における構造変化を象徴する企業の一つである。

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