シェアウェア

シェアウェアの概要と歴史

シェアウェアとは、一定期間、または機能制限のある状態でソフトウェアを無料で試用できるライセンス形式を指します。この手法では、利用者がソフトウェアを気に入った場合に、使用を継続するための対価を支払うことが求められます。この形式の名称は、利用者が開発費を一部負担するという考え方に由来していますが、使用者間でソフトウェアを共有することや共に開発することを意味するものではありません。シェアウェアでは、ユーザーに対して機能制限を設けることで、対価の支払いを促すことが一般的です。

シェアウェアは、個人開発者の趣味や副収入を目的としたソフトウェアのライセンス形態と認識されがちですが、実際には企業による利用も多く、ここ数年では企業開発の事例が増加しています。

シェアウェアの起源は1980年代前半のアメリカです。アンドリュー・フリューゲルマンやジム・クノップといった初期の開発者たちがこの形式を確立し、ソフトウェアの配布を行いました。最初のシェアウェア作品として、フリューゲルマンが1981年にリリースした通信ソフト「PC-Talk」があります。彼は、ソフトウェアに寄付金を求める形を取り、同様にクノップも「Easy-File」を開発し、寄付を促していました。このように、対価の支払いが求められるソフトウェアが生まれ、利用者による寄付が重要視されるようになったのです。

1984年には、シェアウェアという用語が明確に使われ始めました。この言葉を初めて用いたのはジェイ・ルーカスで、彼はこの概念を「無料または少額で提供されるソフトウェア」と説明しました。その後、シェアウェアが広まるきっかけとなったのが、ネルソン・フォードが「利用者が気に入った場合にのみ料金を支払うソフトウェア」という新しい名前を募った読者投票です。この結果、「シェアウェア」という名称が選ばれ、以降広く認知されるようになりました。

日本におけるシェアウェアの普及は1980年代中盤から始まりました。パソコン通信による影響が大きかったですが、初期の頃はアメリカと違い、産業化は遅れていました。日本の利用者は、ソフトウェアを試し、気に入れば送金するという文化が根付いていました。しかし、インターネットが普及すると、ダウンロード販売が手軽になり、人気のソフトウェアは本格的な商業活動を再開するようになりました。

1990年代後半には、秀丸エディタなどの定番ソフトウェアが登場し、シェアウェアが注目されました。また、窓の杜やベクターのようなプラットフォームが開設されることで、さらに多くのユーザーに利用されるようになりましたが、オープンソースや企業によるフリーソフトの台頭により、シェアウェア市場は次第に縮小していきました。

シェアウェアには機能制限が設けられることが一般的で、これにより試用中は全ての機能が使用できない場合があります。このような制限は、利用者が対価を支払う意欲を促す目的があります。中には、制限がないものの寄付を任意とするドネーションウェアも存在します。シェアウェアの分布方法は主にインターネットやパソコン通信を通じて行われ、雑誌の付録やオンラインソフトウェアの集まりとしても広まることがあります。

決済手段は多様で、趣味として開発されたシェアウェアは対価が任意である場合も見受けられます。一方、商業用として開発された場合は、現金やクレジットカード、振込など多様な方法が求められることがあります。特に、レギュラーな商用シェアウェアでは、ユーザーサポートやバグ修正、互換性維持などのアフターサポートの程度が、作者によって異なることが多いです。全くアフターサポートを行わないために公開停止となる事例も見られます。

このように、シェアウェアはその進化の中で多くの変遷を経て現在に至っています。

もう一度検索