シェイク (単位)

シェイク（shake）は、10ナノ秒（10のマイナス8乗秒）という非常に短い時間を表すために用いられる非公式な単位です。この単位は、特に原子核物理学の分野で、核爆発時に発生する様々な現象の時間経過を計測する際に、その利便性から使用されています。

具体的には、核分裂反応における連鎖反応の一世代、すなわち、ある原子核が分裂し中性子が放出されてから、その中性子が別の原子核に捕獲されるまでの時間が、おおよそ1シェイクのオーダーであるとされています。一般的に、核分裂の連鎖反応は50から100シェイク程度の時間で完了すると言われています。

この「シェイク」という単位が使われるようになった背景には、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国で進められた原子爆弾開発計画、通称マンハッタン計画があります。当時の技術者たちは、極めて短い時間を表現する方法を必要としており、その際にアメリカの俗語である「in two shakes of a lamb's tail（子羊の尾を2回振る間に）」という表現に着目しました。この俗語は「非常に短い時間で」「すぐに」という意味を持っており、開発者たちにとって、10ナノ秒という極めて短い時間を表すのに都合が良かったため、この表現が単位として採用されることになりました。

「in two shakes of a lamb's tail」という表現は、トーマス・インゴールズビーの著書『インゴールズビーの伝説』に最も古い用例が見られます。このことからも、この表現が古くから広く使われていたことがわかります。

シェイクは、非常に短い時間を表す単位として、原子核物理学の分野で現在でも使われていますが、日常的な時間感覚とはかけ離れているため、一般的に使用されることはありません。しかし、その起源と歴史的背景は、原子核物理学の進歩と深く結びついており、興味深い事実を物語っています。

関連事項

* バーン（単位）：こちらも第二次世界大戦中の核開発で使われ始めた面積の単位です。

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